リーダーとして世界で最も過酷な重責に晒されるポジションの一つに、米国国防長官の役職を挙げることに違和感を持つ人は少ないだろう。アシュトン・カーターは、米軍がアフガニスタンで病院を誤爆した際に長官を務めるなど、通常では経験しえない重大な危機に幾度となく直面し、それを乗り越えてきた。本稿では、企業リーダーにも有効なリスクマネジメントの5つの教訓を示す。


 2015年10月のある日曜日の早朝、私は米国防総省特殊仕様のボーイング747型機で外国に向かっていた。そこに、アフガニスタン北部の町クンドゥズで爆撃を受けた病院の最初の映像が入ってきた。

 病院は国境なき医師団(MSF)が運営していたものだ。まだ100%確実ではなかったが、米軍の誤爆だという声が上がっていた。MSFはただちに、この爆撃は「国際人道法の重大な違反」だと非難する声明を発表した。