――インド市場の拡大も重要テーマに据えています。

インドはいまや人口で中国を抜き、民主主義国家として着実に経済発展を続けています。新たな成長につながる市場として逃す手はありません。アフリカ市場につながるゲートとしても期待できます。その一方、難しい市場でもあり、現地法人2社のマネジメントをインド人経営者に委ねるなど現地化を進めています。現在は南アジア・オセアニアリージョンの中の一国にすぎませんが、将来的に新たなリージョンとして独立させることができるよう急ピッチで事業拡大を進めていきます。

グローバル市場での成長をさらに加速。新社長が語る「変革のセカンドステージ」「グローバル市場での成長」が当面の大きな課題

日本では三つの地域に社内カンパニー制を導入

――グローバル事業の拡大と並び、「日本事業の再構築」も戦略上の重要課題とし、日本事業を担う日本通運に社内カンパニー制の導入を計画しています。

日本通運を「北海道・東北」「関東甲信越・中部・関西」「中国・四国・九州」の三つの地域ブロックに社内分社化することを検討していきます。その理由は明らかで、エリアごとにマーケットとしての質や規模が大きく異なるからです。実際、北海道と東京とでは、経営上の課題解決のポイントが全く異なります。同一のエリアを前提に議論しても的が絞れず、各エリアにとって最適な経営につながらないという課題がありました。そこでエリアごとに分けた社内カンパニー制を導入し、それぞれのマーケット特性に応じた経営を、スピード感を持ってできるように自由度を高めるのが狙いです。

私自身の問題意識では、地方よりも東名阪(東京、名古屋、大阪)を中心とする大都市圏の方がより課題は大きいと感じています。というのも、マーケット規模が大きい大都市圏は、もっとグローバルビジネスの起点になって事業展開する必要があるからです。これまで以上に「日本発のビジネス」を獲得することがグローバルでの成長に直結すると考えます。

25年1月からの社内カンパニー制の導入を目指し、具体的な検討を進めていきます。

競争力の源泉は従業員 企業風土の進化で目標実現

――脱炭素や人手不足などの社会課題に向き合うことが求められています。

経営計画では、サステナビリティ経営の推進を掲げ、五つのマテリアリティ(重要課題)を特定していますが、その中でも「脱炭素」と「人手不足」は喫緊の課題です。ただ、この二つは「これをやれば、全てが解決する」という単純なものではありません。「あらゆる事業活動を考える際の起点に据える」という考え方を社内に浸透させていくことが大事です。

このうち脱炭素では、毎年のCO2排出量の削減目標を明確に設定した上で、その時点で考えられる最も合理的な手段を選択していきます。

人手不足については、従業員や協力会社、お客さまから“選ばれる会社”になることが何よりも重要だと考えます。従業員から選ばれるためには、賃上げはもとより、働きやすさや働きがいの向上にも取り組んでいきます。

グローバル市場での成長をさらに加速。新社長が語る「変革のセカンドステージ」

――従業員に対する思いをお聞かせください。

私の会社員としての40年のキャリアのうち、一番長いのは人財戦略部門であり、人に対する思いは誰よりも強いと自負しています。NXグループにとって最大の競争力の源泉は、従業員です。企業が成長するためには、従業員と会社とがウィンウィンの関係であることが不可欠です。

長期ビジョンの実現は、非常に高い目標です。しかし、全ての従業員が「変革は当たり前」とするマインドセットを持ち、一人でも多くの従業員がチェンジエージェント(変革の仕掛け人)になっていく企業風土に進化すれば、必ずや実現できると確信しています。

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