社会と文化の変化は、一個人の生活にも多大なる影響を及ぼす。伝統的な生き方や価値観を維持することが難しくなっていく。それが3つ目のメガ・トレンド「ライフスタイル変革」である。2040年の世界を示すブーズ・アンド・カンパニーの好評連載、第12回。

 

第9のメガ・トレンド
ライフスタイル変革(Lifestyle Transformation)

 人口構成の変化、人口移動、情報環境の改善、さまざまな文化の流入、賢くなる個人といった現象は、経済全体だけでなく、個人と家族のライフスタイルにも影響を与える。となりの芝生が青く見えれば、これまでの(伝統的な)生き方や価値観に疑問を持つようになり、外の世界に出て成功した人を見れば、自分もやってみようと人口移動が生じる。移動手段や通信手段が増えれば、それを活用した生活や仕事のスタイルに変わっていく。企業における働き方においても、自宅からオフィスに出勤して固定席で勤務するという前提は変わりつつあり、オフィススペースにおける自由席化、地域ごとの小規模なオフィスでの勤務、さらには自宅勤務や時差勤務など多様な働き方が模索されている。

 先進国、発展途上国を問わず、それぞれの段階なりに家族の平均規模が小さくなる(図表1参照)。日本においても、かつての大家族から核家族、そして今や単身世帯が日本の世帯の多くを占めるに至っている。グローバルにみても同様の傾向が生じ、伝統的家族関係は変容していく。これは、個々人のライフスタイル、企業が提供しうる商品・サービス、そして社会の整備するインフラや制度にさらに影響を及ぼす。

 家族構成の変化と同時に、社会や仕事における女性の役割が拡大し続ける。米国ではフォーチュン500にランクインするトップ企業でも女性CEOが普通に登場するようになっている。たとえばゼロックスにおいてはCEO職が女性から女性へとバトンタッチされたが、これはもちろんフォーチュン500史上初のことである。しかも、バトンタッチされた現CEOのウルスラ・バーンズ氏は女性であるだけではなく、アフリカ系アメリカ人であり大きな話題を呼んだ。