フォーチュン100に名を連ねるトップ企業の経営陣に、女性幹部は何人いるのか。ジェンダー・バランスの権威が発表した詳細な調査報告から、男女格差の実態が浮かび上がる。


 米国のトップ企業の60%には現在、女性の執行役が2人以上いる。うち8社(IBM、ペプシコ、ロッキード・マーチン、ゼネラルモーターズを含む)のCEOは女性だ。しかし細かく見ていけば、ジェンダー・バランスの確立にはほど遠いことがわかる。

 私が経営するジェンダー・コンサルティング会社、トゥエンティー・ファースト(20-First)は先頃、米国、ヨーロッパおよびアジアにわたる世界上位300社の2014年版「ジェンダー・バランス・スコアカード」を発表した(本記事における「上位企業」はフォーチュン誌のランキングに準拠。報告書の英文PDFはこちら)。例年通り我々は、昨今取り沙汰される「取締役会の男女比」のみではなく、ジェンダー・バランスのより適切な指標となる「経営委員会(執行役員)の構成」に焦点を広げている。

 この報告書は、各社の経営上層部(実力でトップに上り詰め、経営者として結果責任を負っている人々)に注目することによって、企業が経営陣のジェンダー・バランス(男女比)を是正するために築いてきた――あるいは築いてこなかった――姿勢や環境を鮮明に浮き彫りにしている。

 米国では上位100社の経営委員会のメンバー1164人のうち、男女比率はいまだに男性83%、女性17%である。これらの女性の3分の2(65%)は、人事や広報宣伝、法務といったスタッフ部門/サポート部門を担っている。ライン部門や事業部門を担うのはわずか35%にすぎず、過去3年にわたってこの構成比は大きく変わっていない。

 一方、ヨーロッパの企業は、一部の国ではクオータ制(女性役員の割合を、2020年までに40%以上にするよう企業に義務づける欧州委員会の動き)、あるいはその脅威の影響で取締役会のバランスには前進が見られるが、経営委員会のバランス是正はいまだ進んでいない。経営委員会に女性が2人以上いるヨーロッパ企業は、3分の1に満たない(29%)。しかし、2011年の20%よりはよくなっている。女性のCEOは1人もいない。上位100社の経営委員会を構成する1025人のうち、男性が圧倒的多数(89%)を占め続けているのが実情だ。女性11%のうち、過半数(58%)がスタッフ部門かサポート部門にいる(米国の65%より少しだけよい)。