テクノロジーのトレンド分析を手掛けるウェブメディア・グループが、2015年に本格化する55のトレンドを発表した。中でも重要な6つは、ディープラーニング、仮想パーソナル・アシスタント、Uber型ビジネス、アルゴリズムの管理、プライバシー、ブロックチェーン技術である。

 

 あなたの会社は、Uber(ウーバー)型の事業立ち上げを狙っているだろうか。自社のデジタル面のセキュリティ強化に、クリプト通貨(cryptocurrency:暗号化された仮想通貨)がどう役立つか検討を始めているだろうか。自社で使っているアルゴリズムが、意図せず嘘をついている可能性を考えているだろうか。

 毎年の終わりに我々ウェブメディア・グループ(デジタル戦略のコンサルティング会社)は、翌年に来るデジタルメディアとテクノロジーの最も注目すべき新トレンドを、独自のフレームワークを基に特定している。その方法として、顧客行動、ミクロ経済動向、政府の政策、市場要因、そして新たな研究を、進化し続けるテクノロジーとデジタルメディアの生態系の観点から分析する。そして世に現れた新たな傾向を探るために、5つの要素に注目する。矛盾、転換、異常、同時多発、逆転現象――これらを考察することで、一連の新トレンドの兆しが見えてくる。そして浮上した各トレンドを、5つの問いに当てはめる。

 人々は、

1.どの状況で/どのように時間を無駄にしているのか?
2.どの状況で/どのようにテクノロジーに困難や煩わしさを覚えているのか?
3.どの状況で/どのように情報を探し求めているのか?
4.どの状況で/何において成す術がなく行き詰まっているのか?
5.他者からどう評価・認識されたがっているのか?

 これら5つの問いによって、新たな傾向が今後定着するトレンドなのかどうかを定性的かつ定量的に検証できる。特定したトレンドについてインサイトを導き出し、それらの信憑性も検証する。こうした作業を経て我々が提案する2015年のトレンドは、あらゆる業界のマネジャーにとって大きな機会を提供すると同時に、新たな課題も示すことになるだろう(55の新トレンドを網羅した英語スライドはこちら)。以下では、特に注目すべき6つを挙げておきたい。

●ディープラーニング
 人工知能を備えたコンピュータは、いまではニューラルネットワークを用いてディープラーニングを行える。ニューラルネットワークとは人間の脳神経回路を参考にしたシステムで、ピクセルデータ(画像)を言語に変換して説明できるものだ。2014年11月にグーグルの研究者らは、1つの画像に含まれる複数の要素を、コンピュータが人間の助けを借りずに認識するという新プロジェクトが進んでいることを明らかにした(英語サイト。たとえば画像だけを認識して「フリスビーをしている若者のグループ」「乾いた草原地帯を歩く象の群れ」といった説明文章を正しく生成できる)。そのソフトウェアは大量のデータを処理することで、「思考法を学んだ」という。

 やがてはこの技術によって、たとえばロボットが以前に見たことのない物体を正しく認識したり、見知らぬ場所に自力で行けたりするようになるだろう。ディープラーニングは多様な領域と交わり、まもなく製造、医療、小売り、ライフラインなどを含むさまざまな分野で役に立つはずだ。