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高橋洋一の俗論を撃つ!

ようやく世界標準の政策を採った日本銀行
量的緩和は物価・景気にこうやって効く

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第1回】 2010年11月11日
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 日銀は、10月5日の政策決定会合で提案した「量的緩和」を、1ヵ月後の去る11月5日に正式に決定した。

 国債、コマーシャル・ペーパー(CP)、社債、指数連動型上場投信(ETF)、不動産投信(J-REIT)などの金融資産の買い入れと、低利資金を金融機関に供給する「固定金利オペ」のために基金の設立し、その基金の規模は、資産買い入れの5兆円と「固定金利オペ」の30兆円を合わせ35兆円である。

 2008年9月のリーマンショック以降、先進各国では「量的緩和」がとられてきたので、日本もようやくその一員になった。

 白川方明日銀総裁は、日銀事務方の時から、量的緩和の効果はないと言い続けてきた。国会でも、そう答弁し続けてきた。このような意見の変節は学者にとっては致命的であるが、政治家や行政マンにとっては別にたいした問題ではない。

量的緩和で物価上昇率を
回復させたスウェーデン国立銀行

 マネーと物価の関係は、貨幣数量理論として知られているのであるから、それを堂々と言えばいい。例えば、スウェーデン国立銀行。この中央銀行はノーベル経済学賞でよく知られている。

 正式名は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」といい、授賞式などは他のノーベル賞と同じように行なわれているが、ノーベルが遺贈したものではなく、スウェーデン国立銀行が設立した賞なのだ。世界最初の中央銀行として知られ、1931年にスウェーデンを襲った危機に対して、インフレ目標を導入し、大恐慌からいち早く抜け出たことで有名だ。

 スウェーデン国立銀行は、消費者物価指数で年率2%プラスマイナス1%のインフレ目標をとっていた。ホームページには、温度計でインフレ率が示されており、1%以下は「寒い」青色ゾーン、3%以上は「暑い」赤色ゾーンになっている。スウェーデンの消費者物価指数は、リーマンショック以降急速に低下し青色ゾーンになり、09年4月から11月までの間に、マイナスに陥ってしまった。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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