2011年7月には地上アナログ放送が停波となり、地上デジタル放送へ完全移行する。そんななか、話題になっているのが「Apple TV」(アップルテレビ)と「Google TV」(グーグルテレビ)だ。
両者とも、映像を視聴するためのデバイスだが、実は性質が大きく異なる。いったいどのように違うのだろうか。「話題になっているけど、実はどんなものかよくわからない」という初心者のために、両者の特徴を徹底比較しよう。
「Apple TV」は、アップルが発売したハードウェア。約10センチ四方の小さなデバイスで、テレビに接続して利用する。無線/有線LANを搭載しており、WindowsマシンやMacintosh本体などに保存されている動画ファイルを再生することができる。
また、アップルはこの「Apple TV」向けに映像コンテンツのレンタルを開始。加えて、インターネット経由でYouTube(ユーチューブ)などのコンテンツを視聴することも可能だ。
一方「Google TV」は、Andoroid(アンドロイド)OSをベースとしたOSを採用したテレビ。通常のテレビ番組はもちろん、インターネットに接続してYouTubeのコンテンツを再生したり、その他のインターネットベースのサービスを使用することができる。また、アプリをインストールすればTwitter(ツイッター)などを使うことも可能となる。
簡単にいえば、「Apple TV」はDVDプレーヤーに映像レンタルサービスがセットになったものという感じ。「Google TV」はケーブルテレビやBS/CS放送のように多チャンネルを楽しむためのチューナー的な役割と言える。
「Apple TV」はすでに海外で発売されており、映像のレンタルサービスも米国では開始されている。書斎にあるパソコンの中の動画ファイルをリビングのテレビで再生するといった使い方には適している。
「Google TV」は、外付けタイプのほか、テレビに組み込まれた形での商品化もできる。すでに米国では、ソニー製のGoogle TV「NSXシリーズ」が発売されている。46インチモデルで1399.99ドル(約12万円)と、かなり安いのが特徴的だ。日本でのリリースは未定だが、発売されたらかなり話題になるのではないだろうか。
個人的には、どちらも興味深い製品だが、パソコンにあまり詳しくない人にとっては、「Google TV」のほうが親しみやすいのではないだろうか。たとえば、地上デジタル対応のテレビに買い換えようというとき、大型液晶テレビに「Google TV」と地上デジタルチューナーが組み込まれたタイプのものがあれば、選択肢に入れることだろう。
「Apple TV」は、パソコンがあってこそのもの。本体内記憶媒体を持たないため、Windowsパソコン、Mac、iPhone/iPad/iPod touchからのストリーミング再生か、MobileMe、YouTube、NetFixからのウェブ経由でのストリーミング再生となる。iTunes経由で動画コンテンツの購入や、テレビ番組・映画などのレンタルができるが、これも単体では行なえない。
すでにパソコンでテレビの録画や映像コンテンツのダウンロードなどを行なっている人には「Apple TV」もオススメだが、単純に今までのようにテレビ番組を楽しみたいという人にとっては、「Google TV」のほうが親和性が高そうだ。
地上デジタル放送の時代を迎えたばかりだというのに、また新たなテレビの楽しみ方が増えそう。あとは、映像コンテンツ、特にテレビ番組の質の向上が必要か。いくらテレビや映像コンテンツを視聴する手段が増えても、肝心の中身がつまらなければ意味がない。
(三浦一紀)