企業同士、
企業間・自治体・国、
そして国民全体で、オールジャパンを

━それでは、それらの発展のために必要となること、また、課題となるのはどういうことがあるのだろうか?

フォーラムのスローガンは「All Together」(共に創ろう。新たな成長)。スポーツと文化を通して企業が連携し、次なる成長を図る

青木 一番必要となるのは、パートナーシップの構築だと思います。例えばイベントの安全・安心を支えると言っても、当社が持つICTの力だけでは実現が難しいこともあります。企業同士、あるいは企業と自治体・国とが手を組んで連携することで実現可能になることが多くあります。2020年に向けて企業・自治体・国が手を組んでオールジャパンの体制をつくることが必要で、どのようなプロセスでその体制を築いていくのか、またそのルール作りなどが今後の課題だと思います。

 2020年には、これまで経験のない規模の多様性溢れるお客さまを日本にお迎えすることになります。スポーツを観戦する以外に、日本の伝統的な文化を体験したい方々も多くいるでしょう。島国の日本では、空港が玄関口ですので、そこでスムーズな移動をいかに実現するか、「ユニバーサル」なサービスをいかにご提供できるかが私共の課題です。そして、空港から先の目的地に、どうやって上手にバトンをつないでいくか。そのためには、企業間、自治体、国との連携が欠かせません。

松下 東京オリンピックは酷暑が予測されています。選手だけでなくボランティアのユニフォームも、暑さを乗り切るため最先端の素材を使った商品開発が必要で、当社ではすでにその研究を進めています。リオのオリンピックを視察したのですが、国民が一体となってオリンピックを楽しもうというムードが非常に強くありました。オペレーション能力も大切ですが、そんな形の運営もあるのだと実感しました。日本でも国民全体で盛り上げる雰囲気をつくるお手伝いができたらと考えています。

━2020へ向けての各社さまざまな取り組みの中で、今回の「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」への参加は、どんなことに期待してのものだろうか?

松下 官民が一体となったオールジャパンの活動として、スポーツツーリズムの可能性が広がることに期待しています。例えば東京マラソンは、現在3万6000人の参加者のうち約6500人が外国人ランナー。もっと枠を広げれば、海外からの参加者はさらに多くなります。同時に、サッカーやプロ野球など、魅力的なコンテンツを情報発信して、スポーツ観戦を楽しみに日本に来てもらう仕組みづくりにも期待しています。

青木 確かに海外に向けての情報発信は重要だと思いますね。まずは今回のフォーラムを通して、企業間や企業と自治体・国とがより広く意見交換をできるようになるといいですね。そして企業・自治体・国が力を合わせて、海外に向けて日本のチカラを発信する、その基盤ができればと思います。

 今回のフォーラムに賛同したのは、スポーツの国際大会をきっかけに、文化にも焦点を当てている点です。オリンピック・パラリンピックは文化の祭典でもあり、訪日する観客は日本の文化にも関心を持ちます。グローバルな人の移動が活発となる中で、2020年は日本文化の多様性を発信できるチャンスであり、訪日する動機付けが高まれば祭典後にまで及ぶ経済効果も期待できます。こうした好循環を生み出すためにも、国内外の企業同士や官民が力を合わせていくキックオフとなる今回のフォーラムは、とても意義があると考えています。

京都と東京の2エリアの会場で行われる「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」。10月19日、京都オープニングでの文部科学大臣によるフォーラム開会宣言により開催。スポーツと文化を通して、日本発、世界へ、次の豊かさを創出する会議として、注目されている。

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京都と東京で開催の「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」

2016.10.19(水)~20(木)in 京都
文化芸術に深い見識を有する国内外の著名人による基調講演を行い、2020年に向けて文化振興の機運を盛り上げ、文化芸術立国を実現していくことを力強く京都から世界に発信する宣言を公表。ユネスコ無形文化遺産に登録された和食を体験し、その魅力を知ってもらうために、ランチに京都料理等を提供予定している。

2016.10.20(木)~22(土)in東京
京都での成果を引き継ぎ、スポーツ界、経済界の代表の基調講演を行う。民間企業経営者が大臣らと共に、ステージ上でフォーラムへの期待や2020年とその先の日本の姿について発言を行う。各国スポーツ大臣や国内外スポーツ関係者を招いたスポーツセッションや、世界経済フォーラムと日本政府が連携した官民ワークショップが行われる。