時代の流れを読み
住む側もよく学ぶ

 吉野氏は、ユーザーや投資家に向け、立地や借入金利といった面だけでなく、住宅や不動産に関する行政の関わりや金融環境についても注視し、自ら学ぶことが必要と助言する。

 「住宅ローン減税や中古物件へのリフォーム補助といった動きいかんで、購入や投資の方向性が左右されることもあるでしょう。マンションやオフィスを買う(投資する)際にも、今後は省エネ性を意識する管理会社か否か、といった視点も必要になってきます。また、金融環境については、一部の地域で安易なアパートローンが増加している傾向もあり注視すべきです。借りられるから買う・投資するのではなく、住みたい・住んでもらいたいから買うというしゅん別が必要でしょう」

 株式などへの投資と根本的に異なり、不動産の購入・投資は原則として息の長い買い物である。買ったり借りたり投資したりする物件が、果たして10年、20年先にも受け入れられるものか、また状況の変化に応じてリフォームなどを行えるのか、よくよく考える必要があるだろう。

 人々の新たな価値観や環境性能に即した物件こそが、少子化や不動産二極化の時代を耐え抜き、ユーザーに評価され続ける物件となる。そのことを肝に銘じておきたい。