ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴

高齢者の高額療養費見直しは貧困拡大の可能性がある

早川幸子 [フリーライター]
【第125回】 2016年10月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 2015年1月に現役世代の高額療養費が見直され、2016年4月には入院時の食事療養費の値上げ、紹介状なしで大病院を受診したときの定額負担の義務化など、ここ数年、医療費の負担増が相次いでいる。

 「医療費の負担増はやむなし」という流れのなかで、最後まで守られてきたのが高齢世帯だ。

 高齢世帯のおもな収入は公的年金で、現役世代に比べると相対的に所得は低い。その一方で、病気やケガをして医療を必要とする機会は増える。こうした高齢者特有の事情を考慮して、70歳になると医療費の自己負担は現役世代に比べると低く抑えられてきた。

 これまで何度も引き上げの機運は起こったものの、高齢者の医療政策は時の政権の先行きを左右するため、長く据え置かれたままになっていたのだ。

 だが、2014年度の国民医療費が40.8兆円となり、過去最高を記録。2015年度は41.5兆円(概算医療費)となる見込みで、3分の1は高齢者の医療に費やされている。

 現役世代の健康保険から支払う高齢者医療への拠出金が年々増加していることもあり、厚生労働省の審議会では高齢者の負担増を容認する声が多数を占めるようになってきている。

 そのひとつが、これまで据え置かれてきた高額療養費の上限額の見直しだ。たしかに増え続ける高齢者医療費を賄うためには、どこかに財源を求めなければいけない。だが、病気やケガをしたときの自己負担を増やすのは正しい判断なのだろうか。

激変緩和措置で導入された
「通院のみ」の限度額

 高額療養費は、医療費が家計に過度な負担を与えないように配慮した制度で、現在、70歳以上の人の高額療養費の限度額は、図のように所得に応じて4段階。現役世代とは異なり、70歳以上は「通院のみ」の上限額が設けられているのが特徴だ。

 これは2002年10月に、通院時の自己負担額の月額上限を撤廃し、定率1割負担になったときに設けられた特例で、新制度導入の激変緩和措置として導入された。

 「一般」の人の1ヵ月の限度額は、入院のみ、または通院と入院の両方をした場合は4万4400円だが、通院のみの場合は1万2000円になる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

早川幸子(はやかわ・ゆきこ) [フリーライター]

1968年、千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、99年に独立し、以後フリーランスのライターとして女性週刊誌やマネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。現在、ダイヤモンドオンライン「知らないと損する! 医療費の裏ワザと落とし穴」、医薬経済社「ウラから見た医療経済」などのウェブサイトに連載中。13年4月から朝日新聞土曜版be on Saturday(青be)の「お金のミカタ」を執筆。「日本の医療を守る市民の会」発起人。


知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴

国民の健康を支えている公的医療保険(健康保険)。ふだんはそのありがたみを感じることは少ないが、病気やケガをしたとき、健康保険の保障内容を知らないと損することが多い。民間の医療保険に入る前に知っておきたい健康保険の優れた保障内容を紹介する。

「知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴」

⇒バックナンバー一覧