皆さんの周りのリーダーやかつての上司を思い浮かべてみてください。圧倒的に叱るリーダーのほうが多いのではないでしょうか。褒めて伸ばすほうが圧倒的にいいとわかっていても、褒めたくても褒め方を知らないリーダーが多いだけです。新刊『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』から、4つの褒め方を紹介します。

叱るよりも褒める

リーダーの人材育成方法には2つのタイプがあります

褒めて伸ばすタイプと、叱り倒して(または欠点を指摘して)厳しく育てるタイプです。

 皆さんの周りのリーダーを思い浮かべてみてください。圧倒的に後者が多いのではないでしょうか。私自身、過去にいろいろなリーダーの下で仕事をしてきましたが、褒めて伸ばすタイプは1割くらいしかいなかった気がします。なぜか褒めたくても褒め方を知らなかったり、シャイな性格で褒められなかったりする人が多いのです。

 もちろん、どちらをおすすめするかといえば、前者の褒めて伸ばす方法です。

 誰だって叱られれば嫌な気持ちになりますよね。そこで「なにくそ!」と発憤してくれればいいのですが、やる気を失ってしまう人もいます。

 一方、褒められれば誰でも嬉しい気持ちになり、上司に理解されていると実感できるので、モチベーションが上がります。また、褒められることを通じて、「こういう行動をするといい結果につながるんだな」と気づきを得られます。

 叱るよりも褒めるほうが効果が表れやすいのです。人材は褒めて育てるのが基本と考えてください。

褒め方にはコツがある

 では褒める際にどのような点に注意するか、私のやり方を紹介します。

1.褒めるタイミングを見極める

 多くのリーダーは褒める回数が少なすぎるので、積極的に褒めていったほうがいいことは確かです。

 でも、いつでもどんなことでも褒めまくっていたら、褒められたときのありがたみが薄れてしまいますから、ある程度はタイミングを見極める必要があります。

 たとえば、良い実績をあげたとき、何かを成功させたとき。これは間違いなく褒めるタイミングです。最上級のリアクションで大げさに褒めてあげましょう。

 それ以外では、スランプに陥っているときや、うまくいかずに落ち込んでいるときに、励ますと同時に褒めましょう。「確かに今回は失敗したけど、すごい行動力だったよ」と言われれば、落ち込んだ気分も少し上向くはずです。

 大事な商談やプレゼンの前で緊張しているときなども、「君の提案内容はとてもいいんだから、絶対大丈夫!」と緊張をほぐしてあげましょう。

2.相手の心に響く褒め方を考える

 当たり前のことを当たり前に褒められたのでは、本人もあまり嬉しくありません。美人に対して、「いつもきれいだね」と言っても、何とも思われないばかりか、セクハラ問題に発展しかねません。

 そんなことよりも「いつも仕事が速くて助かるよ」「電話応対の声が優しいね」「最近、頑張ってるね。期待しているよ」など、日常の何気ない場面で、さりげなく相手の長所を褒めるようにします。

3.褒め言葉は短く、簡単明瞭に

 ダラダラと長ったらしく褒めるのは逆効果。「こんなにべた褒めするなんてちょっとおかしい。おだてといて、嫌な仕事でも押しつけるんじゃないか……」と勘ぐられてしまいます。ひと言でサッと褒めるべきです。

4.プロセスを褒める

 会社にとって大事なのはあくまでも実績。しかし、プロセスなくして実績はありません。部下を褒めるときは、プロセスを褒めてあげるようにしましょう。

 接客応対がバツグンのスタッフに、「君の笑顔をお客様が喜んでいたよ」

 お礼状や案内状の書き方については、「Aさんへの誘致のご案内状は、じつによく書けていたね」

 効率よく仕事したスタッフへ、「今月の君は時間を味方につけたね」

 より多く電話したスタッフへ、「今月の君はよく電話していたね」

 常に整理整頓しているスタッフへ、「君の机の上はいつもきれいで気持ちいいね」

 自分でもいろいろとバリエーションを考えて褒めてみてください。