「政局LIVEアナリティクス」は今回が最終回である。新年、装いも新たに連載をスタートするが、今回は一区切りとして総括を行う。前々回、「政治に信頼はいらない」と論じた(第63回)が、この議論を一歩進めて、「政治家が国民を信頼していない」ことがより深刻だと論じたい。
政治家は本音では、国民からの冠婚葬祭から子どもの進学・就職などまでの便宜供与の要求に応えるために、政治にカネがかかるし、汚職に走ることになると考えている。また、規制緩和・自由化、財政改革など「痛み」を伴う重要な政策を、国民が理解できないと思っている。
だから政治家は改革に抵抗するし、利益誘導に必死になる。その上、国民が政治家の失言などに過敏に反応するだけで、論理的な判断ができないと思うから、政治家は腰を落ち着けて、中長期的な観点から政策に取り組まないのだ。
菅直人首相が「支持率1%でも辞めない」と発言したのは、よく考えると不思議である。そもそも、菅首相は正しいと信じる政策を実行するのだから、当然それで支持率は上がると考えるはずだ。それを最初から支持率激減を前提とするのは、「国民はどうせ政策を理解しない」という「不信感」を示したものだ。
国民が「熟慮の国会」実現を
阻んでいる
この連載では、地滑り的な大勝・大敗が続く選挙と支持率乱高下に翻弄され続ける政治家をずっと観てきた。菅政権も例外ではない。臨時国会で、野党が参院で仙谷由人官房長官・馬淵澄夫国土交通相の問責決議案を可決した。検察審査会で強制起訴の議決を受けた小沢一郎氏の国会招致についての対応でも、野党は態度を硬化させた。補正予算に野党は反対した。
野党は、来年1月の通常国会でも、仙谷・馬渕両大臣の辞任がなければ、国会審議に応じないとしている。また、小沢氏の証人喚問を要求する姿勢を貫いている。菅政権の国会運営は窮地に陥っている。