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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

医療・介護・福祉の低生産性問題
サービス業に雇用を集める「成長戦略」に潜む罠
――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部主席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
【第7回】 2011年1月19日
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強まっていく生産性上昇の要請
サービス業は理想的な「雇用の受け皿」か?

 高齢化する日本経済にとって、経済成長戦略はことのほか重要な政策である。日本が成長しなければ、勤労者の所得増によって高齢者の社会保障負担を賄うことができないからである。

 本稿では、成長戦略を立てるときに見誤りやすい罠があることを指摘したい。それはサービス業を雇用拡大の受け皿と考えて、そこに雇用を集めるだけでは逆効果になる可能性があることである。

 サービス業は他業種に比べて、1人当たり所得が低く、低生産性である。生産性を高めにくいから、就業者の賃金上昇が鈍いという性格もある。

 確かに、現状、サービス業は全業種中で雇用拡大に大きく寄与する数少ない業種である。失業対策として、雇用の伸びが期待できるサービス業への雇用シフトは歓迎されやすい。

 しかし、過去のデータを調べると、就業者が生産性の低いサービス業に集まった結果、就業者全体の平均的な生産性は低位に抑えられることとなった(図表1参照)。

 サービス業の1人当たり生産性は654万円と、産業平均の926万円よりも3割方低い(2009年平均)。その一方で、2000年から2009年にかけて、サービス業の就業者の割合は28.9%から35.7%へと高まっている。

 経済学者やエコノミストの常套句に、「低生産性部門に資源配分が固定化される」という批判の言葉があるが、サービス化の流れは、文字通り、低生産性部門への労働力の固定化に見える。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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