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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

中央銀行の仮想通貨発行が現実へ、その時何が起こるか

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第12回】 2016年12月1日
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 各国の中央銀行が、仮想通貨の検討に熱心に取り組んでいる。その主要な目的は金融政策の有効性確保だが、他方において、銀行預金の消滅、プライバシー喪失など、大きな問題がある。

中央銀行の仮想通貨への関心が
1年間で大きく変化

 日本銀行が、11月の『日銀レビュー』で、仮想通貨に関するレポート「中央銀行発行デジタル通貨について―海外における議論と実証実験―」を発表した。

 昨年12月にも仮想通貨に関するレポートを発表しているが、それと比べると、かなりの変化が見られる。昨年は、仮想通貨のメカニズムと、国際決済銀行(BIS)の仮想通貨レポートを紹介した程度だった。

 それに対して、今年のレポートは、方向性は示していないものの、利害得失の検討などにも踏み込んだ内容になっている。

 これは、この1年の間に、世界でかなり大きな変化があったことの反映だ。1年前にBISが「中央銀行が仮想通貨を発行する可能性がある」としたときには、「なぜ中央銀行が?」という受け止め方が大勢だった。

 しかし、現在では、多くの国の中央銀行が、仮想通貨に強い関心を寄せている。今年6月にアメリカ連邦準備制度、世界銀行、IMFが主催した「ブロックチェーンとフィンテックに関するフォーラム」には、90を超える国の中央銀行が参加した(CoinDesk参照)。

 雑誌Forbesは、このフォーラムを報道する記事で、「どこかの中央銀行が5年以内に仮想通貨を実現するだろう」という関係者の言葉を引用している。

 以下では、仮想通貨の発行に関する各国中央銀行の取り組みを紹介し、その目的と、実現される姿、それがもたらしうる問題などについて述べる。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る

 日本が直面している課題は、実体経済をいかにして改善するかである。それは金融政策によって実現できるものではない。
 金融緩和に依存して長期的に衰退の道を辿っているヨーロッパ大陸諸国と日本。それに対して、新しい情報技術をつぎつぎに開発し、高度なサービス産業に特化して成長しつつあるアメリカとイギリス。両者の差は、イギリスのEU離脱によって、具体的な 形を取りつつある。
 日本はいま、基本的な成長のパタンを大きく変更しなければならない。これは、純粋な研究開発だけの問題ではない。企業の仕組みや社会全体の構造が重要な役割を果たす。

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