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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

“仮想通貨”は“通貨”になれるのか
最新の法改正から読み解く可能性と課題

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第32回】 2016年3月16日
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仮想通貨に対する法的規制導入の意味

 政府は3月4日、「ビットコイン」などの仮想通貨を規制するために、資金決済法などの改正案を閣議決定しました。国会提出法案の名称は「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案(平成28年3月4日提出)」です。本国会(第190回国会:6月1日まで)で決議される予定です。これは仮想通貨に対する初めての法的規制となります。2010年に施行された資金決済法の制定に参加した著者の経験も踏まえて、この法案について解説します。

 当初、新しい存在である仮想通貨についてはその定義を始め取り扱いが困難であり、また仮想通貨を重視するのであれば、新しい独立した法律を制定するかもしれないとの話も出ていました。

 しかし、実際には資金決済法を改正することとなり、改正案では仮想通貨は「決済手段」の一つには位置づけられたものの、実際に「マネー」いわゆる「貨幣(通貨)」としては認められませんでした。この部分、一部に“前のめり”な誤解があるように感じます。

 日本の当局は、これまで仮想通貨を単なる「モノ」としてきましたが、今回一歩進んで、改正案では、不特定の者間における物品売買時の支払や、法定通貨(円やドル等)との交換に利用でき、電子的に移転することが可能な「財産的価値」と新しく定義し、マネーとは一線を画しました。

 一般的な「貨幣」はいわゆる「おカネ」のことで、最近では日本銀行を始め「マネー」というようになってきました。さらに「通貨」とは「法的通用性がある貨幣」のことで、厳密には貨幣とは違います。通貨は、日本では円で、米国ではドルのことです(弊書『通貨経済学入門(第2版)』[日本経済新聞出版社]ご参照)。ちなみに、日本銀行においては硬貨を貨幣、お札を銀行券とも呼んでいます。

仮想通貨は「モノ」扱いのため消費税がかかる

 今回の改正法案で仮想通貨を一応「財産的価値」と定義しますが、貨幣や通貨ではないため、税法上はあくまで「モノ(資産)」のままで、引き続き「消費税」がかかります。これは、日本では貨幣と認めないという極めて明確な事実です。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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連絡先: info@shukuwa.jp

 


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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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