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人間は「脳」の下僕?自由意思は存在するのか

『<わたし>は脳に操られているのか』

flier
【第24回】 2016年12月12日
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要約者レビュー

『<わたし>は脳に操られているのか』
エリエザー・スタンバーグ著、太田 直子訳
334ページ
インターシフト
2300円(税別)

 私たちは、<脳>に操られるマリオネットなのだろうか? 本書はその疑問に正面から立ち向かった意欲作だ。

 本書『<わたし>は脳に操られているのか』には、脳が私たちの心や行動を操っている研究や事例が次々と登場する。脳障害による人格の変貌、心を変えるクスリ、犯罪傾向のある脳の特色――こういった例を見聞きしていると、人間の思考や行動は脳によって支配されており、自由な意志など存在しないという「決定論」が正しく思えてくるかもしれない。事実、神経科学者の間では、そういった意見が多勢を占めているのだという。

 だが、著者は神経科医という立場にありながら、「自由意志」はあると声高に主張する。つまり、脳による無自覚な決定を超えて、人間には意識的に熟考する能力があると考えているのだ。

 神経科学・認知科学における自由意志の主な論点が、本書では次々と登場する。そのため、「神経哲学」と呼ばれる、日本ではあまり知られていないこの分野の概観を把握するうえでも、きわめて役に立つ一冊と言える。同時に、読みすすめていくうちに、この問題がいかに広範な領域をカバーしているのかに気づかされるはずだ。

 「脳と心は別物である」というたんなる二元論に陥らず、脳自体がアルゴリズムを基盤としていることを認めたうえで、いかにしてそこから自由意志の存在を明らかにしていくのか。その議論の行方は、ぜひご自分の目で確かめていただきたい。 (石渡 翔)

本書の要点

・現代の神経科学者のほとんどは、私たちの選択や信念、行動が、すべて脳によって決められていると考えている。これがもし正しければ、道徳的責任は原理的に存在しないことになる。
・自由意志がないと考えるのは早計である。科学者のあいだで、決定論が優勢なのは、それがたんなる世界観だからにすぎない。
・私たちの意思決定は、特定のアルゴリズムを経て、思索的内省へと移ったあとで下されている。この内省こそが、人間の自由意志を構成している大きな要因である。

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