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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ
【第14回】 2016年7月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
林要 [GROOVE X代表取締役]

あなたの「足を引っ張る人」を脳科学でハックする
【対談】中野信子さん×林要さん(第1回)

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テレビでも話題の脳科学者で『努力不要論』などベストセラーを連発する中野信子さんと、世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper」の元開発リーダーで初著書『ゼロイチ』を出した林要さんによる対談が実現した。会社のなかで「出る杭」がなぜ叩かれるのか?なぜ、他人の「足」を引っ張る人がいるのか?そして、その「風圧」を和らげるにはどうすればいいのか?脳科学的に解き明かされる(構成:前田浩弥、写真:榊智朗)

脳科学者の中野信子さん(左)と、Pepper元開発リーダーでロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立した林要さん。

「出る杭」だからこそ、チャンスは訪れる!?

中野信子さん(以下、中野) 『ゼロイチ』を拝読しました。「0」から「1」を生み出す、つまり、イノベーションをテーマにした本は、起業家や研究者によるものが多いですが、林さんのご本は、サラリーマンとしてゼロイチを実現する方法を追求している点で独自性があり、「組織人の悩み」もにじんでいてとてもおもしろかったです。特に、『「出る杭」だから引き抜かれる』という一節が響きました。

林要さん(以下、林) ありがとうございます。よく、「どうすれば、林さんのようにゼロイチのキャリアをつくれるのか?」と聞かれるんです。それで、よく言うのが「出る杭だから引き抜かれる」んじゃないかって話なんです。
僕は、トヨタがF1に参戦したときからF1にチャレンジしたいと希望してたんですが、英語がまったくできなかったので「応募資格」すらなかったのに、あるとき突然「F1に行かないか?」と打診があったんです。

中野 「応募資格もないのに、なぜ?」ってびっくりしますよね?

 ええ。真相がわかったのは数年経ってから。実は、F1の前にやっていた仕事でひとりの役員の激怒を買ったことがあるんです。その方の専門分野の領域に、何の実績のない僕のような若造が手を突っ込んで「常識はずれ」な設計をやったので、「お前は何をやってんだ!!」と逆鱗に触れた。そこで、一歩引けばいいものを、僕は、クソ真面目に「いえ、こうすべきです」と反論し続けたんです。

中野信子(なかの・のぶこ) 1975年生まれ。東京都出身。脳科学者、医学博士。横浜市立大学客員准教授、東日本国際大学教授。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了(2004年)、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了(2008年)。その後、フランス国立研究所サクレー研究所で研究員として勤務(2008~2010年)。現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。著書に『脳内麻薬』(幻冬舎新書)、『努力不要論』(フォレスト出版)など多数。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)、「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)、「有吉ゼミ」(日本テレビ系)をはじめ、多数のテレビ番組で活躍中。

中野 それで玉砕?(笑)

 はい(笑)。だけど、それが、記憶に残っていたらしくて、F1チームから「人材を寄こしてほしい」という要請を受けたときに、「学究肌のエンジニアと、英語はからっきしだけど元気なエンジニアとどっちがいい?」と、その役員が僕の名前を出してくれたらしいんです。

中野 まさに、「出る杭」だから引き抜かれたってわけですね?

 そういうことですね。でも、これって会社のなかでゼロイチのチャンスをつかむためには重要なポイントだと思うんです。ゼロイチって成功するかどうか未知数ですよね?だから、上層部は「そんなきわどい案件には、生命力のある、きわどいヤツを当てておけ」と、“毒をもって毒を制する”という感じで判断をするケースが多いと思うんです。

中野 あはは、そうかもしれませんね。林さんは、役員の激怒を買っても、自分で考え抜いて「これだ!」というアイデアをストレートにぶつけた。だから、「出る杭」になって叩かれたけれど、引き抜かれもした、と。だけど、会社というコミュニティのなかで、はっきりと自分の意見を表明するのは勇気がいりますよね?

 そうですね。でも、中野先生ほどじゃないかな、と(笑)。『努力不要論』を拝読して、歯に衣着せぬ表現がとても気持ちよかったです。多くの研究者さんの文章は、正確性を期するために断定を避ける表現が多いんですよね。「○○の場合には、△△の可能性があるかもしれない」とか「○○のようなことが示唆されます」というように。でも、中野さんの文章は言い切っていて素晴らしかった。

中野 ありがとうございます。歯に衣を着せなさすぎて、怒られてしまう部分もありますが……(笑)。

 まさに、「出る杭」ですね?(笑)。ただ、会社というコミュニティのなかで「出る杭」になると当然、風圧も強くなります。あれに耐えられるかどうかも、重要なポイントですね。

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林要(はやし・かなめ) [GROOVE X代表取締役]

林 要(はやし・かなめ) 1973 年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・首都大学東京)に進学し、航空部で「ものづくり」と「空を飛ぶこと」に魅せられる。当時、躍進めざましいソフトバンクの採用試験を受けるも不採用。 東京都立科学技術大学大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサスLFA」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1 の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感。そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012 年、人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepper は、2015 年6 月に一般発売されると毎月1000 台が即完売する人気を博し、ロボットブームの発端となった。 同年9 月、独立のためにソフトバンクを退社。同年11 月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。


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「0」から 「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したい が、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リー ダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意 識すべきエッセンス」を考えてまいります。

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