3年半でバランスシート調整は
一巡したが、「持病」は続く
筆者が、2007年後半以降の過去3年半、一貫して行なってきたストーリーラインは、欧米でのバランスシート調整の進行にある。過去の歴史を振り返り、過度な信用拡大と、その結果生じうるバランスシート調整ではいくつかの共通項が存在する。
・ゼロ時段階:信用拡大に伴う資産価格高騰
・第一段階:資産価格下落に伴うバランスシート調整の発生としての企業やファンドの危機
・第二段階:企業・ファンド危機が金融機関に波及して、金融システム問題化
・第三段階:金融などの危機対応から国債の大量発行
・第四段階:国債などの財政問題と制度対応
――という一連の流れである。
ここでのプロセスは、信用拡大に伴う債務負担を、企業・ファンド→金融機関→公的セクターに段階的に肩代わりされることを意味する。
国債とは、公的セクターに肩代わりされた見返りに発行されたものであり、筆者は長年、国債を「過剰債務を肩代わって積み上がった身代わり地蔵」と表現してきた。日本の今日の巨額な国債残高は、1990年代以降の調整によるものであり、欧米での国債問題の背景にも、2007年以降のバランスシート調整が存在する。