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就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

「内定って、東大・早慶だけのもの?」――地方学生に刷り込まれている“東京格差”という迷信

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第8回】 2011年2月16日
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東大、早慶あたりの学生って、やっぱり何かが違うんですよ~

 「ん? どうしたの、突然」

 「いや、やっぱり東京の学生ってレベルが高いな、と思って」

 「そう? どの辺が?」

 「いや~、なんか発言とか、大学に入ってからしてきたこととか。自分はこれまでの大学生活でいったい何をしていたんだろうって思って…」

 この会話は去年の4月、当時3年生になったばかりの学生との間であったもの。

 彼女は何かのコンクールの機会に東京の学生と接する機会があり、えらく自信喪失をして北海道の小樽に戻ってきたところであった。これほど直接的な相談でなくとも、本学の学生が「東京の学生」という存在を複雑な気持ちで捉えていることは、さまざまな局面で垣間見える。これは、本学に限らず地方の学生にとって共通することであろう。

 そもそも学生に限らず、日本では地方対都市、もっと端的には地方対首都圏での対立軸でものごとが語られることが多い。そして、地方の人たち(学生を含む)は、本人が好むと好まざると、あるいは、意識しなくとも「東京はスゴイ」という色眼鏡をかけさせられている可能性が高い。

 「東大、早慶あたりの学生って、やっぱり何かが違うんですよ。彼らと伍していくにはどうしればいいですか? 何をすればいいですか?」

 何やら相当焦っている様子である。

 「まあまあ、待て待て。私も早稲田の出身だけど、あそこって1学年1万人も学生がいるんだよ。それこそピンからキリよ」

 「1万人もいるんですかっ?!」

 本学では1学年400名程度であり、大学院生まで合わせても2千数百人規模である。

 「東大や早慶というブランドが教えてくれるのは、『この人は大学に入ったときの偏差値は比較的高かった』ということだけじゃん。それ以上のことは何も教えてくれない。自分の中学や高校を思い出してみても、それこそヤンキーから東大受験生までが存在する高校もあったりするでしょ」

 「ああ、確かにそうですね」

 「社会に出ると、使えない高学歴者がたくさんいることが一発で分かるから、学歴に対しての必要以上の偏見ってなくなるんだけど、確かに学生だとそういうのが見えないから分かりにくいかもね」

 「そうですね~。でも、1万人…ですかぁ(ため息)」

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
保田氏ブログ

 


就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

北海道のとあるのんびりとした国立大学。就職率は悪くない。ここのビジネススクールで教鞭を執る著者のもとに、毎日やってくる大学3年生の学生たち。就活、進路、恋愛、人生……。不安と悩みを抱えながらも、どこかのどかで牧歌的。そんな彼らは、本当にいわゆる「ゆとり」なのか? リアルな現場の一コマを毎週リポートする。※連載は全9回

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