日本の輸出依存度は上から58番目
本当は貿易だけで食べて行けない?

 日本は貿易立国だと信じられている。本当に、日本は貿易だけで食べて行けているのだろうか。

 こうした話をすると、「輸出主導の景気回復」とか、「日本の活路はグローバル化」と言うではないかと反論する人はいるだろう。筆者もそれは否定しない。製造業は、好調な中国経済の恩恵を受けられるように輸出に力を入れて、収益確保を果たすことが望ましい。

 一方、輸出だけで日本経済全体が経済成長を果たせるかというと、それは輸出を過大評価し過ぎている。

 なぜならば、日本の輸出依存度は、他国に比べてそれほどウエイトが大きくなく、牽引役としての限界があるからだ。国内総生産に占める輸出の割合(名目値)がどのくらいかを各国別に調べてみよう。

 筆者が集めた70ヵ国のデータで比較すると、日本の輸出依存度の順位は58番目と低い(図表1参照)。実は、米国は日本よりも輸出依存度が低くて67番目。日本は、輸出依存度が高くなく、かつ米国のように内需拡大で景気を牽引していける国とも違う。日本は、外需をテコにして内需を拡大させるしか、本格的回復に道筋がないところが悩ましい。

「日本=貿易立国」は過大評価か?
輸出は値引きをして、輸入は値上げされる

 日本が貿易立国であるという過大評価ができた理由には、GDPを実質値で見る習慣にも原因がある。貿易収支について、GDP統計の中身を確認してみると、純輸出(財・サービス収支の黒字)はリーマンショックで落ち込むまでは大きく増加していた(図表2参照)。