ここ1、2年間、日本のメディアが私のところに取材に来るとよく出る質問がいくつかある。「中国経済がいつ崩壊するのか」のほかに、「中国企業がなぜ日本の株を買いまくるのか」「中国資本がなぜ日本企業を狙うのか」といった趣旨のものが非常に多い。
メディアの取材に対して文句を言うつもりはない。世の中に起きることに対して関心をもつのは結構で、自然な成り行きでもある。しかし、こうした取材と質問には見え隠れしている何かを感じずにはいられない。つまり中国の買収に対する必要以上の警戒心と隠そうともしない敵意をもっている。そこに私はある種のおかしさを覚えている。
そこまで集中的に質問されると、まるで中国資本が日本を手当たり次第に漁っているように受け止められる。しかしこれは果たして事実なのだろうか。
1月19日、中国出張を終えて日本に帰る最終の航空便に乗った私は、その日の新聞を頼んだ。渡されたのは当日の日本経済新聞だった。そこに載っている関連記事を見ていて、いろいろ見えてくるものがあった。関連記事をここで要約してみる。
まず、国際ニュースを取り扱う7面にある「中国、対外直接投資36%増 昨年、過去最高の4.9兆円 資源エネ権益 大型買収相次ぐ」と題する記事があった。見出しを読むと、中国資本が日本だけではなく世界中を買いまくっているような印象を受ける。
その主な内容は次の通りだ。