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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

過剰反応で描きあげた「中国が日本を買いまくる」虚像に怯える日本社会のおかしさ

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第40回】 2011年2月17日
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 ここ1、2年間、日本のメディアが私のところに取材に来るとよく出る質問がいくつかある。「中国経済がいつ崩壊するのか」のほかに、「中国企業がなぜ日本の株を買いまくるのか」「中国資本がなぜ日本企業を狙うのか」といった趣旨のものが非常に多い。

 メディアの取材に対して文句を言うつもりはない。世の中に起きることに対して関心をもつのは結構で、自然な成り行きでもある。しかし、こうした取材と質問には見え隠れしている何かを感じずにはいられない。つまり中国の買収に対する必要以上の警戒心と隠そうともしない敵意をもっている。そこに私はある種のおかしさを覚えている。

 そこまで集中的に質問されると、まるで中国資本が日本を手当たり次第に漁っているように受け止められる。しかしこれは果たして事実なのだろうか。

 1月19日、中国出張を終えて日本に帰る最終の航空便に乗った私は、その日の新聞を頼んだ。渡されたのは当日の日本経済新聞だった。そこに載っている関連記事を見ていて、いろいろ見えてくるものがあった。関連記事をここで要約してみる。

 まず、国際ニュースを取り扱う7面にある「中国、対外直接投資36%増 昨年、過去最高の4.9兆円 資源エネ権益 大型買収相次ぐ」と題する記事があった。見出しを読むと、中国資本が日本だけではなく世界中を買いまくっているような印象を受ける。

 その主な内容は次の通りだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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