昨年末より相次いで発売され、各社がしのぎを削っている電子書籍。しかし一方で、端末によって機能やサービスが異なるため、ユーザーからは戸惑いの声も上がっているようだ。そこで今回は改めて、主な国産電子書籍端末の特徴を比較検証してみたいと思う。

 まずは、米国での実績を引っさげて、いわば凱旋帰国したソニーの電子書籍端末「Reader」を見てみよう。現時点では、文庫本サイズの「Pocket Edition」と、やや大きめの「Touch Edition」の2種類がリリースされている。無駄を削ぎ落とした「薄型軽量化」が持ち味であり、「Pocket Edition」の場合、その重さはわずか155gほどしかない。

 また、電子ペーパーを採用したモノクロ画面は、文字のコントラストもはっきりしており、非常に見やすい。じっくりと長く読書を愉しみたいという向きにとっては、できれば腕や目への負担が少ないほうがいい。その点において、ソニーの「Reader」はよく考えられている端末といえそうだ。

 だが電子書籍を購入する際、PCを介さなければならない点には不満が残る。PCを起動させたのち「購入」→「ダウンロード」→「転送」という手順を踏む必要があるのは、やはり億劫だ。

 その点、シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS(ガラパゴス)」は無線LAN機能を搭載しており、Wi-Fi環境さえあれば、端末から直接、書籍を購入することができる。こちらは液晶カラー画面で、動画や音声の再生といったリッチコンテンツに対応しているのが特徴だ。

「GALAPAGOS」の魅力は、書籍を選ぶという行為そのものを、ワクワクする体験へと変換してくれる点だろう。ホーム画面には、指先でフリックするとクルクルと回転する書棚が表示され、そこではユーザーへのお薦めの本なども紹介してくれるようになっている。また、定期購読した新聞や雑誌は、予め指定した時間帯に届けてくれるように設定しておくことも可能だ。これらは、ネットとの常時接続という特性をうまく活かしたサービスと言えるだろう。

「GALAPAGOS」も2種類のタイプがリリースされており、5.5型ワイドTFT液晶の「モバイルモデル」と、10.8型の「ホームモデル」がある。それぞれ重さは220gと765g。「モバイルモデル」は、ソニー「Reader」の「Touch Edition」とほぼ同じ重量となるが、縦長の形状のせいか、やや重たく感じる。

 ただし片手でのページ捲りは、中央下部にある「トラックボール」を操作することでスムーズに行なうことができる。とは言うものの、LEDバックライトを搭載したディスプレイは、やはり反射や映り込みが気になるし、目への負担も大きい印象を受ける。

 最後に紹介する「biblio Leaf」は、auによる電子書籍端末である。「Reader」同様、電子ペーパーを採用したディスプレイは、長時間の読書に向いていると言える。ディスプレイの大きさは6インチなので、これは「Reader」の「Touch Edition」と同じサイズ。ただし、筐体下部にソーラーパネルが搭載されていることもあって、本体は若干、大きめとなっている。

「biblio Leaf」の一番の特徴は、無線LANはもちろん、CDMA通信も可能となっている点である。つまり、自宅に限らず、外出先でも24時間自由に書籍を購入することができる。通信費は月額525円(誰でも割シングル適用)の定額制となっていて、何冊ダウンロードしてもかまわない(書籍代は別途必要)。

 携帯キャリアによる電子書籍端末は、他にもNTTドコモのブックリーダー「SH-07C」もある。見た目は「GALAPAGOS」の「モバイルモデル」とほぼ同じであるが、「SH-07C」は、3G通信が可能となっている点が売りだ。

 以上、駆け足で見てきたが、「いずれの端末も一長一短がある」というのが現時点での評価であろう。小説を中心に読みたいというユーザーであれば「Reader」が向いているだろうし、新聞・雑誌が好きというのなら「GALAPAGOS」というところか。「いつでもどこでも」という利便性を追求したいのであれば、通信費を別途負担したうえで「biblio Leaf」や「SH-07C」という選択肢になるだろう。

 いずれにせよ、本格的な電子書籍の時代はまだ始まったばかり。自分に適した端末をじっくりと選び、“読み違え”のないようにしたいところだ。

(中島 駆)