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金融市場異論百出

成長率を維持しインフレ抑制
問われる中国人民銀行の舵取り

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年3月2日
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 上海に行ってきた。万博が終わって、本来ならば需要の反動減が懸念されて不思議はない時期なのに、それを深刻視する声はあまり聞かれなかった。中国人民銀行は、インフレ警戒を強めている。中国政府は今年の成長率を8%以上で維持しつつ、インフレ率を目標の4%に近づけたがっている。

 食品インフレが進むと北アフリカや中東のように低所得の人びとが騒乱を起こす恐れがある。かといって成長率を抑え過ぎて失業が増加しても社会不安の種になる。金融政策は非常に難しいバランスを求められる。

 同行は、利上げと差別的準備預金率操作(当局の意図に反して貸し出しを抑制しない銀行に懲罰的な準備率を課す)という二つのツールを使いながら、「逆サイクル・マクロ・通貨信用動態コントロール」という考え方で、マネーサプライを制御しようとしている。

 しかし、過剰流動性の根源は、当局が継続している外貨買い・人民元売り介入にある。介入は人民銀行のバランスシートを異様に膨張させている。昨年末の同行の資産総額は25.9兆元(3.9兆ドル)だ。同時期のFRBの資産2.4兆ドル、日銀の1.6兆ドル、ECBの2.7兆ドルよりも巨大な、世界最大の中央銀行になっている。名目GDPに対する資産規模の比率は、FRB17%、日銀27%、ECB22%だが、人民銀行は66%だ。中国が国内の流動性を適切に管理するには、為替市場介入を縮小させながら、人民元を適度なペースで切り上げていくことが、結局は必要になってくるだろう。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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