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金融市場異論百出

需給ギャップがプラスのなか
金融緩和はインフレ圧力へ

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年3月9日
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 ドル紙幣発行残高は2月に奇妙な動きを示した。過去10年の平均に比べ3倍も増加した。海外要因ではないかとL・クランドル・ICAPチーフエコノミストは指摘している。北アフリカや中東で、市民の騒乱を見て、金融資産をあわてて大量のドル札に換えている超富裕層がいる可能性がある。彼らは海外の銀行口座が凍結されることを警戒しているのかもしれない。一方、ユーロ札はあまり増えていない。緊急時の資産確保手段としては、ドル札のほうが相対的には人気があるようだ。

 とはいえ、そのドル札を発行しているFRBの“QE2”(量的緩和策第2弾)は、多方面から非難を受けている。代表的な批判者の1人に、貧困・飢餓問題に長く取り組んできたJ・サックス・コロンビア大学地球研究所長がいる。

 彼は、飢餓対策としてアフリカ諸国の農産物収穫率を引き上げることの重要性を指摘しつつ、「この問題に対処するための、最初で、かつ最も容易なステップは、FRBが量的緩和をやめることにある」と述べている(「フィナンシャル・タイムズ」2月17日)。FRBは食品・エネルギー価格高騰の炎に油を注ぎながら、「ブーム・破裂サイクル」のリスクを冒していると痛烈に批判している。「ウォールストリート・ジャーナル」も2月24日に、「FRBは海外で混乱を引き起こしている」「FRBを綿密な監視下に置くべき緊急性がある」という見解を掲載した。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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