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巨大地震から人命を守るための地震予知の課題、
そして、我々が持つべき正しい危機感と心構え
東大地震研究所地震予知研究センター長 
佐藤比呂志教授に聞く

2011年3月16日
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これまで多くの研究者たちが発生の可能性を示唆していた東海・東南海、南海での巨大地震。しかし、今回はその想定とは異なる東北地方を、不意打ちのように世界最大級の地震が襲った。地震予知・予測に関する研究が進められているなか、今後、地震の発生を予測し、甚大な被害を回避することはできないのだろうか。東大地震研究所地震予知研究センターの佐藤比呂志センター長に現代の地震予知の課題、そして今後も発生が懸念される巨大地震への準備と心構えについて話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

“不意打ち”となった東日本大地震
懸念すべき他地域での地震発生の可能性

――かねて静岡県を中心とした東海地震とそれに連動した東南海、南海地震の発生可能性が示唆されていたが、今回は岩手県沖から茨城県沖の震源域が連動して起きた東日本大地震が起きてしまった。この発生の可能性は予測されていなかったのか。

 西南日本の太平洋側には水深4000メートル級の深い溝、南海トラフがあり、地震発生地帯となっている。その南海トラフで発生する地震については、豊富な歴史文書や考古遺跡で発掘された液状化の痕跡から、歴史的にM8クラスの地震が90~150年間隔で発生してきた事実が明らかにされている。南海トラフ沿いの地下構造や地震活動も会わせて、東海・東南海・南海地震の発生場所や規模ついても予測され、相応の防災対策が進みつつある。

 それに比べ、東北日本については2万人の死者を出した明治三陸地震(1896年)などの津波災害については知られているが、さらに古い時期の地震については歴史時代の記録が乏しいことから、西南日本に比べてよく分かっていない。したがって、沖合の日本海溝沿いの地震の発生場所や規模の予測は、概ね観測によって捉えられる100年程度の期間の地震活動にもとづいて考えられてきた。しかし、90年代の広範から津波堆積物や海岸沿いの地層中に残された地殻変動の痕跡についての研究が進歩し、過去の大きな津波を発生させた地震についての情報が得られるようになってきた。例えば、平安時代の896年に起きた貞観(三陸)地震に対比される津波堆積物がかなり広範囲に分布していることが、近年、産総研の研究によって明らかにされている。こうした成果も含めて、東北日本沖で発生する海溝型の地震の長期評価については、まさに地震調査推進本部における検討作業が進みつつあった。残念ながら南海トラフで起こる地震のように、調査・研究・対策が進む前に、想定を越える規模の地震の発生が現実のものとなってしまった。

――今回の地震の後、強い余震の発生が引き続き懸念されている。今後の余震発生や新たに大きな地震が誘発される可能性についてお教えいただきたい。

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