Photo by Kazutoshi Sumitomo

「汚い、暗い、狭い、臭い……」。仮設トイレの販売・レンタル大手、日野興業(千葉県市川市)の谷本亘営業企画部部長は、これまで日本人の脳裏にこびりついてきた仮設トイレへの負のイメージを“一掃”しようと、新たな試みに取り組んでいる。

 2014年に発売した従来タイプの「フラワートイレ」は、女性利用者の目線を取り入れた細やかな工夫などが話題を呼び、好評を博した。新商品ではこのトイレの部材同士を「コの字形」に組み合わせて大きくし、さらに使い勝手を改善。今春、女性向け仮設トイレ「WLXシリーズ」として本格的に販売を始める予定だ。

「実は仮設トイレはこの数十年、技術的に大きな進歩が起きてこなかった」(谷本)──。その理由の一つには、最大需要先の建設現場で使われる仮設トイレがレンタル主流だったことが挙げられる。

 おとこ気あふれるタフな建設職人たちの間では長らく、仮設トイレに対してせいぜい「安く用が足せればいい」という程度の認識しかなく、耐久性こそが重要視されてきた。高齢の建設職人の中には「和式でないと力めない」という声もあるほど。これまでの慣行の延長で、建設現場では和式便器の仮設トイレがほとんどだった。

 供給者と需要者の双方とも特に変化を求めることもなく、利用者のニーズを探りながら改善点を追求する「ユーザー目線」はいつの間にか置き去りにされていった。

担い手不足が転機に
洋式便器に様式変化

 そんな“どん詰まり”の状況を打破する転機となったのが、建設現場の担い手不足の深刻化だ。若者や女性の建設職人を増やしていく必要に迫られる中、仮設トイレについて現場にヒアリングすると、「洋式便器を求める声がこの2~3年で急速に高まっていることが分かった」(谷本)という。

 国土交通省では16年10月以降、建設現場の仮設トイレには原則的に、男女とも不快感なく利用可能な「快適トイレ」と呼ぶタイプを設置する方針を導入。これに象徴されるように官民一体で現場のトイレを変える試みが進みつつある。