日本では中国人の
「脱出パニック」が発生

 3月20日、羽田空港の中国線出国カウンターには、出発時間の2時間前にもかかわらず、すでに中国人の長蛇の列ができていた。上海の虹橋空港では3月12~14日にかけて通常の3倍の入国者数を記録、浦東空港でも11~15日にかけて、およそ1万人の中国人が帰国した。

 上海行きMU538便に搭乗する中国人女性は、「昨日、上海から航空券を取り寄せた。片道で11万円も払った」と話す。通常ならば往復でも6、7万円がいいところだ。彼女が帰国を急ぐのは「日本はこれから食べ物がなくなる」という危機感があるため。栃木県の日本人男性に嫁いだ彼女は、「すでに汚染された可能性のある土地に苗を植えることはできない」と言う。

 茨城―上海間を結ぶ春秋航空が3月末までの欠航を決めたことは、さらに混乱に拍車をかけた。日本語のwebサイトにも「ネットでの払い戻しができない、電話、メールで問い合わせても通じず、返信もない」という声が上がっていたが、羽田で東方航空のチェックインカウンターに並ぶ中国人からも実際に「欠航決定後、春秋航空の茨城事務所はまったく連絡がつかなかった。買った航空券はどうなるのか。電話番号を残しているのだから、航空会社の方から連絡があってもいいはずだ」と不満を訴えた。

 前後して、上海では「往復チケット2万元(約24万6000円、1元=約12.3元として)」のニュースが流れた。急騰する航空券価格に、さらに買い手が殺到した。

 さて、羽田から上海に到着した筆者を出迎えたのは、ちょっとしたサプライズだった。福島第一原発の報道を理由にした「面会お断り」である。

 その晩は上海人の友人に「自宅で食事を」と招かれていたのだが、ドタキャンに。送られてきたメールはこうだった。