「1億超の会員基盤」を武器に。金融へ挑むドコモの採用課題
NTTドコモは、通信事業を引き続き中核に据えながらも、その在り方を見直している。同社が注力しているのが、dポイントやd払い、dカードといった「金融・決済」を核としたスマートライフ事業の拡大だ。
「通信単体での成長には限界があります。今後は通信を“価値創出の基盤”として再定義しつつ、当社が持つ1億を超える会員規模の顧客基盤を活用し、通信と金融・決済データを掛け合わせることで、日常生活のあらゆるシーンに密着した“生活接点のハブ”になることを目指しています」。そう語るのは、同社コンシューマサービスカンパニーで人事戦略を担う矢野久代氏だ。
この壮大な挑戦を支えるのは「人」に他ならない。しかし、即戦力の金融・IT人材を巡る環境は、非常に競争の激しい市場だった。
金融やITの領域では、外資系企業やスタートアップ、コンサルティングファームとの間で人材獲得が激化している。特に年収競争はすさまじく、年収水準の単純な比較では同社が選ばれにくい場面があった。
さらに、企業イメージとのギャップも、採用を難航させた。NTTドコモは国内有数の通信事業者として高い知名度を持つ一方で、採用候補者の中には「安定しているが変化が少ない」という印象を持つケースも見られた。
「実際には金融やデータなど新しい領域で多様な挑戦ができる環境がありますが、その実態が十分に伝わっていないと感じることがありました」
この二つの採用課題を受けて、同社が改めて向き合ったのが、自社の強みをどう定義し、どう伝えるかという点だった。年収という単一の比較ではなく、別の評価軸で選ばれる企業になることを目指した。
NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー カンパニーコーポレート部 人事戦略担当課長矢野久代 氏
「“規模”と“挑戦”が両立している点は、当社の強みだと考えています」。矢野氏は語る。
大規模な顧客基盤を生かしながら、生活インフラに近い領域で、顧客体験に直接影響を与えるサービスやプロダクトに関われる圧倒的なスケール感と社会影響度の高さは同社の特長だ。中長期の視点で社会価値の創出に関わる事業に携わることができる。
「しかし、自社のアセットを魅力として定義できても、それを選考プロセスで候補者にお伝えするすべが不足しており、思うように採用が進まない状況が続いていました」
このように課題に向き合いつつも、自社内製だけでは突破し切れない限界に直面していた同社が、採用手法のさらなる高度化を目指してパートナーの一つに選んだのが、マイナビ転職AGENTだった。
年収条件の壁を越える、マイナビ転職AGENTの活用
NTTドコモが求めたのは、自社のビジョンや求める人物像を深く理解した上で、候補者のキャリア観と適合させていく「高度なマッチング」だ。
マイナビ転職AGENTは、企業側を担当するリクルーティングアドバイザーと、求職者側を担当するキャリアアドバイザーが密に連携し、双方の理解を踏まえたマッチングを行う体制を取っているのが大きな特色だ。この仕組みが、NTTドコモの採用プロセスの改善につながった。
矢野氏が評価したのは、単なる人材紹介にとどまらない支援の在り方だったという。候補者一人一人の志向を踏まえた上で、どの程度自社にマッチするかを事前に擦り合わせてから提案が行われた。
「マイナビのリクルーティングアドバイザーさんは、当社の現場マネージャーへ徹底したヒアリングを行い、組織の微妙なニュアンスまで把握してくれます。その生きた情報はキャリアアドバイザーさんにも連携され、求職者に対し『NTTドコモでのキャリアが自身の人生にどうつながるか』という、候補者にとっての魅力として具体的に伝わるのです」
紹介の質に特化するため、マイナビはあえて紹介数を絞り込む戦略を取った。特筆すべきは、面接の各段階で実施される、「企業と候補者間の認識齟齬の丁寧な解消作業」だ。
「選考ごとに、リクルーティングアドバイザーさんとキャリアアドバイザーさんの双方により、企業と候補者に丁寧なヒアリングが行われます。そこで生じたわずかな認識のズレも即座に解消し、次の面接に反映させる。この徹底した並走により、他社から高い年収提示を受けていた候補者が、『約1億人の生活インフラをアップデートする大きなやりがい』に価値を感じ、最終的に当社を選んでくださるケースも出てきました」
こうしたやりとりにより、NTTドコモは採用活動の中で、候補者と自社との認識をそろえていくことを可能としていった。
マイナビが候補者の実現したいキャリアとNTTドコモの環境をしっかりと理解し、NTTドコモ自身も面接で「何を実現したいか」を候補者に深く問う。この「キャリアの擦り合わせ」への注力が、NTTドコモと候補者双方の高い満足度を生んだ。事実、内定承諾率も7割を超え、量から質へのステップアップを証明する結果となっている。
相互理解を軸にしたパートナー選び
NTTドコモの取り組みは、同様の採用課題を抱える大手企業にとっても参考になる点は多い。
「自社の魅力やキャリアの可能性をしっかり言語化することはまず大切です。その上で当社は、マイナビ転職AGENTの利用によって、それらを候補者ごとに適切にお伝えすることができました。それにより、激しい年収競争の中でも、高い内定承諾率を実現していけたのだと思います」。矢野氏は振り返る。
採用難度の高い人材を確保するには、従来のような一律の情報提供だけでは不十分であろう。候補者に寄り添い、どの領域でどのような役割を期待しているのかを具体的に伝え、納得した上で入社してもらう必要がある。
そのために重要となるのが、企業と候補者の双方に向き合う体制である。企業側の情報と候補者の志向を個別に把握し、それぞれを擦り合わせながら伝えていくことで、より適切なマッチングが実現していく。
「外部サービスを単なる一つのチャネルとして使うのではなく、自社の事業や採用意向を深く理解し、共に課題解決に向き合えるパートナーとして活用することが重要なのだと実感しました」と矢野氏は話す。
「採用は人事だけの取り組みではなく、事業・組織づくりそのものです。条件面を超えた『自社で働く意義』を言語化し、それを客観的な視点で候補者に届けてくれるパートナーを持つこと。それが、採用やその後の定着・活躍、ひいては会社の成長にもつながると確信しています」
マイナビ転職AGENTのように、企業と候補者の双方に深く向き合い、高い精度でマッチングさせる仕組みを活用することで、採用の質を高めていくことにつながるだろう。

