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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

与野党は「復旧」段階では政治休戦しても「復興」に至ったら大いに国家構想を論議せよ

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第7回】 2011年4月6日
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 東北関東大震災の発生から3週間が経った。福島第一原発事故の状況がいまだに不透明である一方で、復興に向けた動きが広がっている。「団結しよう」「1つになってがんばろう」「日本の力を信じよう」などの言葉が日本中に溢れている。

「復旧」段階の
与野党協調は必要だ

 震災後機能停止していた国会も動き始めた。総額92.4兆円の新年度予算が成立し、予算関連法案も、大部分が「つなぎ法案」などの形で暫定的に国会を通過した。赤字国債の発行を可能にする特例公債法案は、依然として成立の目途が立たないが、与野党間で「大連立」も念頭に置いた協調が模索され始めている。

 問題は、大震災からの復旧財源の確保だ。住宅や工場、道路、港湾施設などのインフラの被害額は16-25兆円とされる。民主党政権は復旧の財源として特別消費税や社会連帯税の創設や震災国債の日銀引き受けなどの検討を始めた。

 だが野党は、大震災前から「バラマキ4K」として批判してきた「子ども手当」「高速道路無料化」「高校無償化」「農家の戸別所得補償」を撤回して予算を捻出すべきと主張している。

 財界やマスコミ・有識者からも、「4K」の撤回で「政治休戦」を実現すべきとの論調が多い。民主党政権は「メンツ」に拘らず、今後の補正予算編成で与野党が協力できる条件を整えるべきだというのだ。そして「ねじれ国会」で続いてきた国会の機能不全がこれ以上繰り返されるなら、政治は国民に完全に見放される。政治家は小異にとらわれず、未曽有の危機に力を合わせて挑む姿を見せるべきだと訴える。

 私も、当面の被災地の「復旧」の段階では与野党の「政治休戦」が必要だと考える。「4K」の凍結も、赤字国債発行法案の成立や、補正予算の編成のためならやるべきだ。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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