韓国次期政権で国民の関心が「反日」に向かう理由韓国次期大統領の最有力候補、文在寅(ムン・ジェイン)氏は日韓合意の見直しを主張している Photo:YONHAP NEWS/AFLO

八方ふさがりの韓国は
政治基盤の整備が不可欠

 現在、韓国は厳しい状況に追い込まれている。朴槿恵(パク・クネ)大統領は、友人を国政に介入させた疑いなどを受けて罷免された。そのため、国民に選ばれた政治、経済、軍事を統率する同国のリーダーは不在の状況になっている。歴史的に朝鮮半島は、中国、米国、ロシア(旧ソ連)の大国のエネルギーがぶつかり合う地政学上の要所だ。朝鮮半島情勢の緊迫化は、極東、そして、国際社会全体にも無視できない影響を与える可能性がある。日韓関係も韓国新政権のかじ取りの難しさを考えれば、「反日姿勢」が強まり、難しい局面になるだろう。

 韓国の「空白」状態を見透かすように、すでに38度線を挟んで韓国と対峙する北朝鮮は軍事的挑発を繰り返している。また、中国との関係も、朴前大統領がサムスンという大黒柱の不振もあり、韓国経済に一時期の勢いが見られない中で緊密化を図ろうとしていたが、韓国の対北朝鮮ミサイル配備の導入をきっかけに急速に冷え込んでいる。

 一方、米国をはじめ主要国の政治は、グローバリズムへの反感を抱く有権者の支持を取り込み、自国第一へと大きく舵を切っている。その中で韓国が自国の安定を目指すためには、それなりのしっかりした政治理念が必要になる。

 新政権は数々の政治スキャンダルの教訓を生かし、民主主義に基づく政治基盤を整備することが欠かせない。それができて初めて、財閥系の企業に牛耳られてきた経済の改革を実現することができる。

民政安定に大改革必要
財閥依存からの脱却課題

 大統領の罷免に伴い、韓国では60日以内に大統領選挙が実施される。次の大統領は様々な課題を解決する必要がある。それが難しいようだと、朝鮮半島情勢は一段と緊迫化する可能性がある。