インフレ2%の達成は程遠い <br />ヤマトの値上げが話題のお国柄宅配便の運賃引き上げを検討しているヤマト運輸。値上げは、消費税率の引き上げ時を除くと27年ぶりだという Photo:Rodrigo Reyes Marin/Aflo

宅配便最大手のヤマト運輸が、宅配便の運賃引き上げを検討しているというニュースが大きな話題となっている。1面トップで報じた全国紙もあった。

 しかし、米国人がこの話を聞いたとしたら、「なぜそんな話題が新聞の1面に載るのか」と驚くと思われる。なぜなら、米国では荷物の配送料の値上げは日常茶飯事だからだ。

 日米の消費者物価指数(CPI)における「配送料」の動きを比較してみよう。

 20年前となる1997年1月の価格を100とすると、日本の今年1月は98だ。非常に硬直的である。ヤマト運輸が検討している今回の値上げは、消費税率引き上げ時を除くと、実に27年ぶり(バブル期以来)だという。

 対照的に、米国の「配送料」は持続的な上昇を示してきた。20年前の価格を100としたときに、今年1月は153だ。米企業は日本企業と違って、人件費などのコスト増加分をサービス価格に自然体で転嫁してきた。

 ただし、過去のこのコラムで触れてきたように、米国でもモノの多くは長期デフレに陥っており、耐久消費財の価格は20年前に比べて18%も下落している。