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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

震災による日本の「貿易赤字転落」問題は、実際どのくらい深刻か――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第22回】 2011年5月18日
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日本の貿易収支は4月中旬▲7868億円の赤字
4~6月を通じても赤字になる可能性が高い

 日本の貿易収支が、赤字に転落しそうだ。すでに4月上中旬は▲7868億円の赤字(4月分は5月25日公表)。4~6月を通じても赤字になる可能性が高い。

 理由は、震災によって生産が大幅に停滞し、輸出が急減すると予想されるからである。同じような経験は、リーマンショック時にもあった。このときは貿易取引が急減して、2008年度下期にかけて赤字が継続した(図表1参照)。

 今回がリーマンショックのときと違っているのは、サプライチェーンの不全という供給ショックの色彩が強い点である。東北・北関東などの被災によって、内外に広がるサプライチェーン全体が機能しなくなって、生産も輸出も動かなくなった。

 需要の急激な減退を伴ったリーマンショックのときは、在庫調整が山谷を過度に大きくした。その作用がないぶん、今回の方が振幅は小さいと見られる。

 生産と輸出の間のリンケージがどのくらいかを確認すると、生産が1%減少するとき、輸出は1.45%減少すると計算される。輸入も生産と連動しているが、生産1%の減少に対して輸入は1.11%減少と反応は小さい。

 このように輸出と輸入の感応度の違いがあるために、生産が拡大するほど貿易黒字は大きく膨らみ、逆に生産が落ち込むほど貿易収支は著しく悪化する(図表2参照)。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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