日本の貿易収支は4月中旬▲7868億円の赤字
4~6月を通じても赤字になる可能性が高い

 日本の貿易収支が、赤字に転落しそうだ。すでに4月上中旬は▲7868億円の赤字(4月分は5月25日公表)。4~6月を通じても赤字になる可能性が高い。

 理由は、震災によって生産が大幅に停滞し、輸出が急減すると予想されるからである。同じような経験は、リーマンショック時にもあった。このときは貿易取引が急減して、2008年度下期にかけて赤字が継続した(図表1参照)。

 今回がリーマンショックのときと違っているのは、サプライチェーンの不全という供給ショックの色彩が強い点である。東北・北関東などの被災によって、内外に広がるサプライチェーン全体が機能しなくなって、生産も輸出も動かなくなった。

 需要の急激な減退を伴ったリーマンショックのときは、在庫調整が山谷を過度に大きくした。その作用がないぶん、今回の方が振幅は小さいと見られる。

 生産と輸出の間のリンケージがどのくらいかを確認すると、生産が1%減少するとき、輸出は1.45%減少すると計算される。輸入も生産と連動しているが、生産1%の減少に対して輸入は1.11%減少と反応は小さい。

 このように輸出と輸入の感応度の違いがあるために、生産が拡大するほど貿易黒字は大きく膨らみ、逆に生産が落ち込むほど貿易収支は著しく悪化する(図表2参照)。