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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

6つの視点で語るポスト3.11のエネルギー政策
――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券 ディレクター/チーフエコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第23回】 2011年5月25日
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短期の危機管理と中長期の危機管理
両者は代替関係にはない

 東日本大震災を受けて景気が下押し圧力に晒される中、震災のインパクトの焦点は「短期」に当てられやすい。

 政策もおのずと短期に関心が向かいがちだ。しかし、短期の危機管理と中長期の危機管理は代替関係にはない。短期の危機管理に傾注するあまり、中長期の政策路線が不可逆的に歪められることはあってはならない。

 中長期の政策としては、エネルギー政策(原子力の扱い、再生可能エネルギーの浸透・育成)、TPP(輸出主導であるにもかかわらず内需依存という歪んだ日本経済の構造を変えられるか)、税制改革(人口の年齢構造の変化に対応した税体系を再構築できるか)、人口問題などが挙げられる。

 これらの政策運営が奏功しなかったとき、日本経済は一層強い「空洞化」圧力に直面しよう。「空洞化」とは、マクロレベルでのサプライチェーンの喪失に他ならない。「空洞化」が日本経済にもたらす影響は、足元で議論されている個別産業のサプライチェーン寸断の影響をはるかに凌ぐはずだ。

 今回は、これら中長期の政策課題のうちエネルギー政策に焦点を当て、同政策の今後を展望する上での論点をいくつか検討してみたい。

 具体的には、(1)エネルギー源の可採埋蔵量と地理的分布、(2)エネルギー源の地理的依存度、(3)発電コスト、(4)新エネルギーの開発、(5)温暖化ガスの排出量、(6)危機管理だ。もちろんこれらが考慮すべき全ての論点というわけではない。しかし、基本的な視座を提供するものとは言えよう。

天然ガス、石炭、原子力、石油、水力――。
きれいに分散された日本の電源構成

 今後の日本は、これまで以上に安全性や管理可能性を重視したエネルギー選択を迫られる。その際、主要なエネルギー源の特性を把握しておく必要がある。主なポイントは図表1(ただし、本図表では太陽光、風力などの再生可能エネルギーは含めていない)のようにまとめられよう。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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