美術館の楽しみ方、「歴史」「投資」「癒やし」の3ポイント

『週刊ダイヤモンド』4月1日号の第一特集は「美術とおカネ アートの裏側全部見せます。」。特集では、お金の流れから作家の生活、歴史から鑑賞術まで全てを網羅した。ここでは、アートが好きな経営者や学者、画家や写真家など特集で取材した“美の達人”たちのインタビューをお届けしたい。今回は、ブログ「青い日記帳」主宰の美術ブロガー中村剛士氏だ。(『週刊ダイヤモンド』編集部 竹田幸平)

美術を鑑賞する際の
3つのポイント

――美術館鑑賞の感想などを記したブログ「青い日記帳」は、2004年に現在の形で始められて以降、今では美術界で著名な存在となっています。普段あまり美術館に行かないビジネスマンが鑑賞する際、オススメの楽しみ方があれば教えて下さい。

 大きく3つの楽しみ方があると思います。まず、美術を歴史的な文脈に位置づけて見てみることです。それは日本史でも、世界史とでもいいと思います。例えば、日本なら洛中洛外図屏風が織田信長から上杉謙信の手に渡ったのだな、といった形です。私は平面の作品に色んな紐付けをすることを『立体的に見る』と表現しています。

 次に「万人受けする絵はどれだろう?」という目で見てみることです。それは「投資する甲斐のある作品はどれだろう?」との視点とも言い換えられます。この作家の作品だから、といった先入観を持たずに、自分の目だけでみて金銭的価値をイメージしてみる。正解がどうかはともかくとして、市場価値を考えてみるということです。