森友学園への国有地払い下げで、財務省は交渉経過を書き留めた書類を「破棄した」としてきたが「電子データなら復元できる可能性あり」と態度を変えた。
防衛省の「南スーダン日報問題」と似た展開になった。防衛省は日報を「破棄した」と言い張り、ウソがバレそうになると「電子データならある」と認めた。財務省も同じコースを歩むのか。
書類が存在していることは、3月2日の『世界かわら版、財務省の「交渉記録は残っていない」は本当か』に書いた通りである。私文書として保存するのは官僚の常識。それを「ない」と言い張るのは無理がある。資料がないなら、当事者に聞いて報告すればいい。調べる意思はなく、第三者による調査もしない。そんな当たり前のことさえ拒む。国民への背信を続ける役所が「増税」を叫んでも、誰も相手にしないだろう。
パソコンで作り電子で残す時代に
「残っていない」は無理がある
いまどき行政文書を手書きする役人はいないだろう。会議の報告書や面談の応答記録はキーボードを叩いて作る。手元にはプリントされた文書が残っても役所の記録は電子データだ。
財務省の佐川宣寿理財局長は「短期間で自動的に消去され復元できないようなシステムになっている」と国会で答弁していた。
これもウソだったようだ。10日付朝日新聞によると、財務省が2013年に導入した現在のシステムには「自動的にデータを消去する仕組みはなく」、データの消去は手作業だと職員は言う。消してもシステム上に残る。佐川局長が頑なに「消去された。復元できない」と言い張ったのは「文書を見せろ」と言われると困るからだろう。だが、そこに無理があった。
「ないことにしよう」という方針が揺らいだのは、大阪地検特捜部の動きと絡む。