日本の若者は自動車に興味がないとよく言われる。筆者のオフィスにいる20代男性社員も見事に無関心だ。なぜか? と聞くと、「不経済じゃないですか。自転車のほうがいいです」と言われる。筆者の世代にはエイリアンに見える。

 昨年のロンドン駐在時によく行っていた語学学校には、世界中から学生が来ていた。彼らが前述のような日本の若者をどう感じるか興味があったので、ある日、授業中に皆に問いかけてみた。

 英国人(教師)、イタリア人、スペイン人、ブラジル人、サウジアラビア人、韓国人、台湾人などがいたが、全員が強い驚きの反応を示した。別の授業でも尋ねてみたが、やはり教師も含め、全員が驚いていた。彼らは、「日本は世界有数の自動車生産国なのに」と不思議がっていた。

 何人もの韓国人の男子大学生が、「いつかはレクサスに乗りたい」と話していた。韓国ではトヨタ自動車のブランド戦略は成功している。いいクルマに乗ることが社会的ステータスを表すという感覚は、新興国だけでなく、先進国にもいまだに根強く見られる。英国もその傾向が強い。ロンドンの高級住宅街に路上駐車されているクルマを見ると、ポルシェ、アストンマーチン、フェラーリなどが並び、まるで高級車見本市のようだ。