梅雨の日本にかつてない政治不安が広がっている。東日本大震災への対応が後手に回る菅政権に対して、6月1日、自民・公明などの野党からついに内閣不信任決議案が提出された。民主党内からも、小沢グループや鳩山前首相が可決に賛同する姿勢を見せたため、事態は緊迫の度合いを増した。ところが急転直下、2日の採決前に菅首相は「東日本大震災への対応に一定のメドがついた段階で退陣する」と発表。これを受け、不信任案は大差で否決された。国民不在の今回の政局を、「茶番劇」と感じた人は多いだろう。震災以降、いまだ先の見えない状況が続くなか、政争に終始する永田町を国民はどう見ているのか? 足もとの国民感情を緊急調査した。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

大震災後、最高潮に達した政治不安
不信任案可決なら解散・総選挙も?

 これを「茶番劇」と呼ばずして、何と呼ぼうか――。

 終息が見えない原発事故と放射能不安、指針が定まらない復興のロードマップ、いまだ議論が紛糾する財源問題など、東日本大震災後の政府の対応は後手に回ってきた。一刻の猶予も許されない状況のなか、民主党に対する不満は爆発寸前の様相を呈している。

 そんな6月1日、ついに自民・公明・たちあがれ日本の野党3党は、菅内閣に対する内閣不信任決議案を衆院に提出、2日午後の本会議で採決されることとなった。当初、可決は難しいと思われていたが、鳩山由紀夫・前首相や小沢一郎・元代表のグループが賛同する姿勢を見せ、「民主党内から70名に及ぶ大量の造反者が出る」という見通しが報じられるに至り、事態は一気に緊迫の度合いを増した。

 「よもや不信任案が可決され、菅首相は解散・総選挙に踏み切るのではないか」「震災処理もろくに進んでいないのに、今総選挙なんてさらに日本を混乱させるだけだ。どうかしている」

 採決までぎりぎりの攻防が続くなか、復興を尻目に政局ばかりが報道される状況に嫌気がさしていた国民の不満は、頂点に達した。