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高橋洋一の俗論を撃つ!

菅首相 自然エネルギーへのご執心は延命のため
注目の「電力買取法案」にも経産省の思惑

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第16回】 2011年6月23日
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 ある閉じた系の中のエネルギーの総量は変化しない。これは物理学でのエネルギー保存則だ。経済でのエネルギー問題も突き詰めれば、ここに行き着く。

 力学的エネルギー(位置エネルギー・運動エネルギー)、熱エネルギー、光エネルギーなどを、いかに電気エネルギーに置き換えるかの問題だ。もっとも100%変換できない。太陽光発電システムでは変換効率はおよそ20%程度で、残り80%は光として反射されたりする。

「電力買取法案」への
ご執心は単なる延命のため

 こんな科学少年の時の夢をくすぐられたのだろうか。急に菅直人首相が、自然エネルギーへの転換を言い出した。不信任案騒動の後、官邸のブログに5回も載せている。それ以前にはまったくなかったのに。

 菅首相が、退陣を示唆してから、驚異的な粘りだ。総理は内閣不信任か総選挙でしか代えられない。ズルしても不信任をくぐり抜ければ総理の勝ちだ。もし民主党執行部が辞めさせたいなら、参議院で野党が問責を決議して、慣例によって衆議院の与党から信任案を出して採決すればいい。

 ここまでしないと、驚異の粘り腰をみせる菅総理は諦めないかもしれない。彼の政治人生はいつも瀬戸際なので、この程度の逆境は何でもなく、総理という権力への執着のほうがはるかに大きいからだ。

 それにしても、急に政権の最優先課題として浮上したのが「電力買取法案」だ。

 これは政治的にいえば、単なる延命である。

 本当に総理がやりたい課題は、就任直後の所信表明で行う。昨年6月の所信表明には「原子力産業を含むエネルギー部門」への期待はあるが、自然エネルギーは出てこない。10月の所信表明では、役所からの要請であろうが、政策羅列の中に「再生可能エネルギー」、「全量買取制度」がかろうじてでてくる。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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