これらの目標の実施状況に対しては、数値目標が設定されている(図の右側にある「KPI」)。数値目標を見てみると、「就労支援事業等に参加した者のうち、就労した者及び就労による収入が増加した者の割合【2018年度までに50%】」など、本人の状況や地域の事情に大きく左右されそうなものが目立つ。

 また、真の原因が生活保護の人々以外のどこかにある現象に対する“対策“も目立つ。たとえば医療機関の頻回受診は、ネット世論で「生活保護で医療も薬も無料だからといって、必要もないのに病院に行って不要な薬まで欲しがる」と非難されているけれども、生活保護の医療問題のうち多額かつ深刻なものは、医療機関によるものだ。

 ときどき問題になる向精神薬の転売も、高額で転売できる向精神薬を大量に処方する医師がいなければ起こらない。しかし、数値目標の欄には「頻回受診者に対する適正受診指導による改善者数割合【2018年度において2014年度比2割以上の改善】」とあり、「医療機関に対して適正化を行う」という記述は見つからない。不可解な医療や処方を行っている医療機関を重点的に調査して「適正化」すれば、短期間で大きな効果を挙げられるであろう。そう考えるのは、私だけだろうか。

パチンコ、調剤薬局の課題
強制労働へと向かう「就労支援」?

 今年度の財政審の会議資料を見る限り、生活保護に関して、特に目新しい内容は見当たらない。しかし1点だけ、大変気になる部分がある。4月20日に開催された審議会資料に含まれた「正当な理由なく就労に向けた取組を拒む者に対し」「保護の停廃・処分のほか、保護費の減額など柔軟な対応を可能とする」という記述だ。就労支援が「就労か、生活保護打ち切りか」という脅迫のもとに行われるのであれば、もはや「支援」というよりは強制労働に限りなく近いものであろう。

 病院などの頻回受診については、またもや「とにかく生活保護の人々を指導すれば“適正化”できる」という内容の記述が見られる。しかし「医療を受けにくくする」「薬の処方を受けにくくする」といった内容まで踏み込んだ記述はない。また、プライベートな生活や余暇活動についての記述もない。

 5日後の内閣府・経済財政諮問会議でも、同様の内容の資料が提出されているが、それ以上に踏み込んだ内容を求める議論は行われていない。

 生活保護の人々に対する「パチンコに対しては指導を」「調剤薬局は1ヵ所に」という内容の記述は、少なくとも現時点までは、内閣府と財務省の会議資料・議事録・報告書などからは見い出せない。にもかかわらず、3月に「厚労省パチンコ調査」、5月に調剤薬局を1ヵ所に限定する方針が、突如出現した。このことは、何を意味しているのだろうか。