Photo by Takahisa Suzuki

 去る5月19日、東京都の「国際金融都市・東京のあり方懇談会」(座長:斉藤惇・KKRジャパン会長)は、都庁で小池知事同席のもと、5回目の会合を開き、昨年11月以来の議論の中間取りまとめを行なった。東京都はこれを参考にして、6月に「国際金融都市・東京の実現に向けた構想骨子」を公表することになっている。東京がアジアナンバー1の国際金融市場の地位から脱落して長い年月が経ってしまった。挽回に向けた取り組みはどうなっていくのか、今回は懇談会の中間取りまとめからその方向性を探り、次回は東京都が公表する構想骨子の内容に基づいて具体的な政策の実現可能性を考えることとしたい。

小池知事が発足させた
画期的な懇談会

 小池知事が発足させた「国際金融都市・東京のあり方懇談会」は、さまざまな意味で画期的なものだ。

 まず、メンバーの多様性と意思決定の早さだ。メンバーは表1の通りだが、小池知事が毎回出席することはもちろん、全国銀行協会、日本証券業協会、日本投資顧問業協会、日本ベンチャーキャピタル協会の各会長、日本損害保険業協会の副会長、そして日本銀行の決済機構局長、独立系のPEファンドやフィンテック企業のトップ、学者や税務の専門家の方々のほか、国際銀行協会の会長、英国の元ロードメイヤーなど、外国人も3人加わり、更には、金融庁や在日英国大使館なども陪席していることから、東京に存在している金融機能や行政のトップが1ヵ所に集結した形になった。当然、意思決定は早くなる。

 次に、すべての議論が公開されていることだ。小池知事の方針で現在の都政は全般的に情報公開が進んでおり、「どこで、いつ、だれが、何を決めたのかわからない」というブラックボックスを徹底的に排除している。今回の懇談会は国際色が豊かで、日英2ヵ国語、かつ、必要に応じてTV会議を活用して世界各地にいる参加者を結んで行われたが、その会議のすべてはネットで同時中継され、資料や議事録も速やかに公開されている。