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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

変貌遂げるエンディングの姿
――葬儀・相続を考える【第1回】

週刊ダイヤモンド編集部 田島靖久
2011年7月7日
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ここ数年、エンディング業界では、盛大な葬儀や豪勢な墓がすっかり影を潜めている。代わりに人気を集めているのが小規模で簡素なものだ。どうして変わってしまったのか、現状をレポートする。

 昨年冬のことだった。都内在住の62歳の男性の元に、静岡県内に住む父親の危篤を知らせる連絡が入った。

 「お父さんが倒れたらしい」

 父親は88歳。これといった大病を患ったこともなく、最近まで元気だっただけに男性は焦り、取るものも取りあえず静岡の病院に駆けつけた。

 しかし、家族の思いも虚しく、父親は静かに息を引き取った。苦しまなかったことだけが救いではあったが、悲しみは深かった。

 ところが、感傷に浸っている暇などなかった。死亡届の提出から葬儀社の選定に至るまですべてが初めての経験。周りの意見やアドバイスを聞き、どうにか葬儀までこぎ着けた。

 男性は、父親が現役を引退してからかなりの時間がたっていることもあり、親族や近しい人20人程度の「家族葬」で見送りたいと葬儀社に要望。小さな会館で通夜と葬儀.告別式を営むことにした。

 ところがである。どこで父親の死を聞きつけたのか、弔問客が次から次に訪れ、その数は100人をくだらない規模にまでふくれ上がってしまう。

 聞いてみると、父親は在籍していた会社のOB会で世話役を務めていたほか、地域の老人会でも中心的な存在だったらしく、集まりの席で亡くなったことを知らされたというのだ。

 当然、狭い会場に入り切れるはずもなく、料理などの振る舞いもできない始末。寒空の下、会場の外で待たされた弔問客からは、「息子さんけちったのね。あんなにいいお父さんだったのに可哀想……」といった声まで聞かれ、男性は唇を噛んだ。

 だが、後悔はこれだけではすまなかった。すべてが終わり、ホッとした気持ちで精進落としを迎えた日のことだった。

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