また、小笠原諸島は東京都とはいえ、港区の竹芝桟橋から船で25時間半かかる。そのアクセスの悪さ、不便さが逆に「東洋のガラパゴス」とも称される豊かな自然を守ってきた。

 一方、海外では歴史市街地区として世界遺産に登録されているマカオ、今年新たに世界遺産に決まった中国の杭州西湖がおすすめだ。杭州は、13世紀末にこの地を訪れたマルコ・ポーロが「世界で最も美しく優雅な都」と賞賛した古都。マカオ、杭州とも直行便が飛んでおり、フライト時間は3~5時間とアクセスが良い点も魅力だ。

秋の連休は安近短の
アジアがおすすめ

 今年9月のシルバーウイークは、火・水・木と平日を挟んでいるため、前後の土曜とつなげて2、3泊の旅が主流となるだろう。フライト時間が短く、時差もあまりないアジアなら十分楽しめる。ある調査機関が「海外旅行先でしたいこと」をリサーチしたところ、「食事を楽しみたい」という回答が1位だった。美食が堪能できるという点でもアジアは最適だ。

  たとえば食べ歩きが楽しい台湾。東日本大震災に対し、世界一となる170億円を超える義援金を寄せた台湾では、今もあちこちで「日本のために祈りを」といったメッセージを目にし、店頭に募金箱が置かれている。そんな温かい支援に謝意を伝えるには、多くの日本人が台湾を訪れることが一番だろう。

 韓流ブームが続き人気の高い韓国に行くなら、総2階建ての最新鋭機A380を体験してみたい。大韓航空は6月17日、A380の1号機をソウル~東京線に就航させた。震災まもない日本と韓国を結びたいという思いが込められた初便には、支援物資も積まれていた。

 このほか、羽田からもフライトがある香港、タイ、シンガポールも短期旅行向き。夏から秋にかけては、アジア各地でさまざまなイベント(下記参照)が開催される。訪れるたび新たな発見や驚きがあるのもアジア旅行の醍醐味といえる。

 一方、日本旅行業協会と日本政府観光局は共同で「日本からの“ありがとう”キャンペーン」を6月にスタートさせた。「ありがとうの気持ちを海外へ。そして再び美しい日本で再会を」をコンセプトに、海外旅行の促進を打ち出している。日本人が海外を旅することで「安全・安心な日本」のアピールとなり、ひいては激減した外国人観光客の回復につなげたいという思いがあるという。

直前でもネット活用で
満足度の高い旅を実現

 旅先を決め、ツアーや航空券、宿の予約をする際に役立つのは、やはりインターネット。夏休みが間近に迫った今「直前・ネット活用」がキーワードといえる。

 旅行費用を抑えるには、以前は早期予約が原則だったが、最近では直前割引を打ち出す会社が増え、インターネット上には、「間際割引」、「アウトレット」といったタイトルでツアーや航空券、ホテルなどの格安情報が多数掲載されている。たとえば、海外ホテルの予約サイト、エクスペディアの「直前予約」は、出発日まで2週間を切ると特別価格になる。ホテルによっては半額以下にディスカウントされるので、利用価値は高い。

 また、ネット限定の商品や割引サービスなどもあり、国内も海外もネット活用がコストダウンへの道。自宅にいながら24時間アクセスできるインターネットには、満足度の高い旅を実現するノウハウが揃っている。

注目のアジアのイベント&ニューオープン情報!
大邱スタジアムをメイン会場に開催される世界陸上(上、写真は前回大会)、新アクセスの登場で空港?市内間の移動がスムーズに(下)

昨年、タイのスワンナプーム国際空港とバンコク中心部を最短15分で結ぶ高速鉄道が開通。シンガポールに開業したユニバーサル・スタジオは、世界初やシンガポール独自のアトラクションも多い。下記リスト以外では10月7日から約1ヵ月間、歴史的建造物などで開かれる「マカオ国際音楽祭」も質の高いイベント。

【イベント】
国/IAAF大邱世界陸上選手権大会(8/27~9/4)
    213ヵ国が参加するスポーツイベント
台湾/台湾美食展(8/18~21)

    「食」をテーマに多彩なグルメイベントが開かれる
香港/ワイン&ダインフェスティバル(10/27~30)
    アルコール度数30度以下の酒税が撤廃
    された香港に世界中のワインが集合して
    行われる屋外ワインイベント

【ニューオープン】
シンガポール/2010年春、東南アジア初の
    ユニバーサル・スタジオがオープン
タイ/バンコクの空港と市内を結ぶエアポート・
    レール・リンクが2010年に開通