「頭で考えなくても配達できるよう開発したのだろうけど、ただ機械的に回ればいいわけじゃない」とぼやくのは、宅配業界最大手、ヤマト運輸のセールスドライバー。同社では配達業務に使うポータブルポス(細長い携帯端末)を新型タブレットに移行するか検討しており、4月から一部の支店・営業所で試験運用を始めた。ところが、現場からはブーイングの嵐だという。どういうことか。
ヤマトでは定期的に「NEKOシステム」と呼ばれる基幹システムを刷新し、それに伴い新しい機器やソフトを導入してきた。目的は業務効率化と顧客の利便性向上。2010年から始まった現行の第7世代では、例えば、配達先で電子マネーでの支払いが可能になったり、「クロネコメンバーズ」(無料登録制サービス)会員の客に配達予定を事前にメールすることで、客が自由に受け取り日時を変更できるようになったりした。
今度の第8世代では、喫緊の課題であるドライバーの業務負担を減らすため、人工知能(AI)の活用が目玉となっている。具体的には、新型タブレットで配達場所や指定時間など幾つかの条件を設定すると、最適ルートをナビゲートする機能がある。また、配達履歴をAIが分析することで、効率的な配達順序を示すという。