ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本
【第1回】 2017年6月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
高辻成彦

一生使えるビジネススキル、
一次データの「リサーチ力」を鍛えよう!
『アナリストが教えるリサーチの教科書』から情報収集・分析の基本を学ぶ

『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』を上梓した、アナリストの高辻成彦さんに聞く、ビジネスリサーチの基本とは? 連載1回目の今日は、リサーチを始める前に押さえておきたい4つのポイントを解説します。

調査会社に頼まなくても
リサーチは自分でできる

 私たちは日頃から、調べごとが必要な環境にいます。
 ビジネスでの本格的な調べごととなると、調査会社に頼んで、一次データを作っていくことを連想するかもしれません。
 実際に、詳細な調べごとは、プロにまかせた方が確実でしょう。

 しかし、世の中には、すでに公開されている一次データがたくさんあります。
 これらの公開情報を入手し、加工して、二次データとして使うことでできる調べごとなら、多額のコストや時間をかけずに、自分で資料をまとめられます。

 ここではこれを、ビジネスリサーチと呼びます。

ビジネスリサーチは
正式に学ぶ機会がほとんどない

 みなさん、調べ方はご自身で習得されたのではないでしょうか。
 一から十まで研修などで教えてもらった、なんてありがたい経験は、なかなかないと思います。

 「ビジネスマンだったらそれくらい調べろ!」
 と上司に言われたとしても、肝心の調べ方までは、教えてもらえないのが実情です。

 もちろん、ある程度のことは、ベテランから若手に教えられることもありますが、若手とベテランでは経験値の差が大きいですし、教えてもらっても、そのケースについては解決しても、すぐに何にでも対応できるほどの実力がつくものでもありません。

 日本のビジネス界には、残念ながら、調べ方を教えるカルチャーは、定着していないように思います。

 私が、『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』を書いたのは、そんなビジネス環境の中で、リサーチをしなければならなくなった、特に若手ビジネスパーソンに、情報収集や分析の基本を伝えたいと思ったからです。

 なかなか、手取り足取り教えてはもらえないリサーチですが、ある程度自分できるようになると、事業のアイデア出しに役立ったり、提案やプレゼンでもデータを示せるようになり、説得力が増します。
 
 リサーチは、ずっと使えるビジネススキルの基本です。はやめに習得されることをおすすめします。

リサーチの目的と
許容できる時間・コストを決める

 さて、リサーチを始める前には、まず、次の4点を押さえましょう。

 (1)何をリサーチするか
 (2)何をリサーチの解決とするか
 (3)いつまでにリサーチするか
 (4)どの程度のコストを許容するか

 お金と時間に余裕があれば、コストをかけてじっくりと調べることで、充実した答えが導き出せるかもしれません。
 しかし、ビジネスで調べごとが出てきた際には、時間的にも予算的にも余裕のないケースが多いように思います。

 そこで、さまざまな制約の中で解決を見出していく必要がありますが、そのためには、調べる対象範囲を広げすぎず、どこまで掘り下げるかを、最初に決めます。

仮説を持ちながら
アウトプットを考える

 また、効率的に作業を進めるには、あらかじめ、リサーチの回答の仮説を立てておくことも大切です。

 どんな業界構造なのか、どんな検証の証拠をそろえるのが望ましいかなど、作業の段階を踏むたびに、自分で答えを考えながら作業を進めましょう。

 そして想定した答えと違った状況になった際には、作業を軌道修正していくといいでしょう。

物事をMECEで構造的に
捉えるクセを身につけよう

 実際にリサーチする際には、MECEを意識します。

 MECEとは、”Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive”の略で、「モレなくダブりなく」という意味です。

 たとえば、リサーチをする際、どのような区分で業界が大別されるのか、業界構造を理解する必要があります。そのときに、モレやダブりのない区分を考えるのです。
 業界の分類を考えるなら、地域別にどう分かれているか、製品・サービス別にどう分かれているか、といった具合です。

 リサーチに限らず、MECEの考え方はビジネスシーンで使いこなせるようになるといいですね。

 さて、今日は少し駆け足で、リサーチ前に知っておきたいことを解説しました。
 より詳しくお知りになりたい方は、『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』をご覧になっていただければと思います。

 ビジネスリサーチを丸投げせずに、自分で行うヒントになれば幸いです。

スペシャル・インフォメーションPR
  • ダイヤモンド・オンライン 関連記事
    お金のウソ

    お金のウソ

    中野晴啓 著

    定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2017年7月

    <内容紹介>
    誰も教えてくれなかった「お金の真実」!親の言うことを聞いているとお金が減る。 20代、30代がこれから生き抜くための本当に必要で最低限の知識。 成長なき「成熟経済」の時代に、お金を着実にふやして、守り、安心を手に入れるには、 預金、保険、銀行、投資…お金をふやすには、どうつきあうのが正解?

    本を購入する
    ダイヤモンド社の電子書籍

    (POSデータ調べ、8/6~8/12)



    高辻成彦 (たかつじ なるひこ)

    立命館大学政策科学部卒、早稲田大学ファイナンスMBA。いちよし経済研究所(東証1部・いちよし証券の調査部門)のアナリスト。主な職歴は経済産業省、ナブテスコ(東証1部)の広報・IR担当、ユーザベース(東証マザーズ)のシニアアナリスト。経済産業省在籍時は経済波及効果測定のための経済統計である産業連関表の時系列表作成に参画。ナブテスコの広報・IR担当時は日本IR協議会によるIR優良企業特別賞の所属会社初受賞に貢献。ユーザベース在籍時は業界・企業情報サービス・SPEEDAの業界レポート作成や、経済ニュースアプリ・NewsPicksの経済コメント活動に勤め、最古参ユーザーとして8万人以上のフォロワーを得る。現職では企業取材活動をもとに年間約200本のアナリストレポートを発行。日経ヴェリタスのアナリストランキングにランクイン。


    アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本

    リサーチを丸投げせずに自前でやるには、何から始めればいいのか?

    『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』の著者で、アナリストの高辻成彦氏が教えるビジネスリサーチの基本。

    「アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本」

    ⇒バックナンバー一覧