東日本大震災で多くの人から注目された地震保険。災害後、保険会社の認定などが迅速な対応だったため、すでに地震保険加入者の9割に保険金が支払われたとのこと。

この6月に『地震保険はこうして決めなさい』を上梓した、損害保険に詳しいスペシャリストが、前回に引き続き、仙台を訪れ、地震保険の現状をリポートします。

すでに9割の方に支払い完了! 地震保険の
支払金額は7月7日現在で1兆530億円。

 震災前(09年度末)の加入率は国内全体で23%ですが、津波による被害がとくに大きかった東北3県では、岩手県で12%、宮城県33%、福島県14%の加入率でした。

 東日本大震災による地震保険の支払い金額は、7月7日現在で1兆530億円を超えています。これまでの最高額は95年に発生した阪神・淡路大震災で約783億円ですから、東日本大震災の被害の大きさがわかります。 

 地震保険では、鑑定人が損害の大きさを調査し、全損、半損、一部損という3つの区分に認定し、保険金が支払われます。しかし今回の災害では被害が甚大であり、個別に調査していたのでは支払いまでにかなりの時間を要したはずです。

 そこで損害保険業界では、航空写真や衛星写真を用いて、津波などで壊滅的な被害を受けた街区にある契約をすべて全損と認定するといった例外的措置をとりました。

 悪天候で航空機が飛ばない、写真と住所地の照合が困難を極めるなど、さまざまな苦労があったようですが、このような取り組みがあってこそ、迅速な支払いが実現したといえます。

 地震発生から4ヵ月弱で9割の支払いを終えており、多くの人の助けになったことでしょう。

 ほかにも、保険証券の紛失などで加入している保険会社が分からない人の問い合わせに応じる、請求のない契約者には保険会社側から連絡をとって未払いを防ぐなど、損害保険会社の取り組みは親切でスピーディでした。

 地震保険は公的な性質が強く、保険会社の利益はありません。そんな中で調査・支払いに尽力されたことは、高く評価できると思います。