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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

南極で氷を売り続けた日本の銀行
7-9月期に運用計画修正を繰り返した15年
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第33回】 2011年8月3日
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貸出し縮小計画は「非国民」

 2011年度の第一四半期が終わり、8月は下期を視野に含む段階になってきた。1990年代以降の銀行を中心とした金融機関は毎年のように、この時期に下期に向け年度当初の計画修正を行なって有価証券運用に比重をかけることを繰り返してきた。

 今回は、その背景を考えながら、現在、日本の金融機関が置かれた運用環境を考えてみよう。

 日本の金融機関は、年度当初の計画では常に、金融機関としての「本業」である貸出しの増加計画を設定してきた。これは日本の銀行に限ることではないが、銀行にとって最大の資産項目であり、いわば、売り上げの柱である分野の計画を前年以下にすることは、「許されない」ことであり、それは企業として組織の論理としては「非国民的」なものとして見られやすかった。

 しかし、現実には日本の金融機関の貸出しは1990年台後半以降、2000年代半ばの一時期を除き、常に前年比マイナスが続いた。日本の銀行の貸出し減少の背景には、90年代後半には銀行の資本不足に伴う貸し渋りの側面も存在した。

 しかし、多くの場合、銀行側、供給サイドの側面よりもむしろ、需要サイド、すなわち過剰債務が指摘されてきた企業のバランスシート調整に伴うものだった。また、日本の先行き期待低下に伴う、レバレッジ縮小による内需縮小によるものだった。

1990年台からのマネーフローの大転換

 マネーフローで見て、金融とは部門別で資金余剰セクターの資金を資金不足セクターにつなぐ機能を意味する。ここで、家計、企業、政府、海外の4部門に単純化して、部門別の資金過不足で資金フローを考えることにする。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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