先祖代々の土地を持つ地主は、相続時に土地を手放したくないのに加え、高い相続税も払いたくないと考えがちだ。そこで大東の提案するアパートを建築すれば節税となる上、「35年一括借り上げ」のサブリースによって家賃収入が保証される。そのため、特に人口が少なく、入居者募集に苦戦する地方や都市部郊外の地主にもてはやされてきた。

 ところがリーマンショック以降、そんな顧客層に異変が生じている。新規顧客とリピーター顧客の比率が逆転し、今では受注の65%以上がリピーター頼りとなっているのだ。大東が主戦場とする人口減少の激しい地方でアパート建築の新規需要が落ち込んでいることが大きな理由だ。そのため、かつて同社が建てた、老朽化したアパートの建て替えの需要に依存している様子が鮮明に浮かび上がっている。

 それだけではない。営業マンの営業力が落ち込み、ビジネスモデルの屋台骨が揺らいでいるのだ。新規工事の受注高は、過去最高だった15年度の6930億円から16年度は6552億円に減少した。そこで大東は、17年度に受注高を6830億円までに回復させるため、17年3月期の決算説明資料である営業方針を打ち出したが、それがさらなる波紋を呼んでいる。

飛び込み訪問一本槍が
会社のイメージダウンに

 その営業方針とは「午前は新規顧客開拓訪問の時間を徹底確保させ、午後は見込み候補顧客見極め訪問実施、追客の徹底をさせる」というものだ。「こんなのは当たり前すぎて、わざわざ方針として打ち出すようなことではない。創業者が辞めて同社の理念が全く見えなくなった」と、大手ハウスメーカー幹部は苦笑する。

 田中さんもまた、この営業方針に頭を抱える。

「新規営業がとれないのは営業スタンスが時代遅れだから。昔ながらの飛び込み訪問の一本槍が、当社のイメージダウンにつながっているのは疑いようがありません。同じ地主さんのところに朝・昼・晩と3人の違う営業マンが3回も行くのだから、嫌われるのは当たり前ですよね」