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大手独占の家庭用洗剤市場に異変!
米国人に受けたメソッド社の楽しいエコ感覚

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第156回】 2011年8月4日
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 アメリカの家庭用洗剤は、超大手メーカーの独壇場だ。何十年も前から、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に代表される一握りのメーカーが出し続けてきたブランド商品がスーパーの棚を独占し、消費者の家に陣取り、彼らのマインドの中にまで入り込んでいる。消費者を、慣れ親しんでいる家庭用洗剤から乗り換えさせるのは、そうたやすいことではない。

 ところが、ここ数年、ある新興メーカーの商品が、スーパーの棚でその陳列面積を少しずつ広げてきた。メソッドという会社だ。

 メソッドの製品は、一見して他の家庭用洗剤と違っている。透明なプラスティック容器に、美しいピンクや空色、白色の洗剤が入っている。前面にゴテゴテと効用を宣伝する他のメーカーの容器と異なり、すっきりとした佇まい。キッチンのカウンターに飾っておきたいくらいである。

 見た目だけではない。中身もそうだ。メソッドの製品はすべてバイオディグレーダブル(生物分解性)で、ナチュラルな材料を使った地球に優しい洗剤であるという。容器も再生プラスティックを利用し、買い替える際のリフィル(詰め替え)製品も豊富だ。

 まだある。メソッドは、製品だけでなく、製造の方法、さらには会社の経営そのものに至るまでエコに徹底してこだわっている。太陽熱を利用したり、ディーゼルトラックを採用したりと、あらゆる場面でカーボンフットプリントを減少させる工夫に余念がない。

 さて、メソッドは、自社の目標を「楽しくて健康的な家庭改革」を目指すものだとしている。

 アメリカに旅行した人ならば誰でも気づくと思うが、この国での洗剤の使われ方は過度と言うしかない。レストランのテーブルを拭くのに使われるのは、原液の化学洗剤。それをスプレーしてペーパータオルで拭き取るだけだ。食器洗いでも部屋の掃除でも、洗剤をたっぷり使う。それも日本人の目から見ると、すすぎが少なく、二度拭きなどはほとんどないと言っていい。

 それだけ化学洗剤への抵抗感がなかったわけで、アメリカの家庭では、やや乱暴な言い方をすれば、洗剤っぽい匂いがすれば「クリーン」だった。しかし健康やエコロジーへの関心の高まりと共に、疑問を持つ人々が増えてきた。テーブルや床から匂い立つ洗剤の蒸気が人体にとって悪い影響がないはずがない。また、化学薬品が地球に与えるダメージも考えるようになってきた。

 そう人々が思い始めたころに登場したのが、ほかならぬメソッドだった。人が身体に使う石けんやシャンプー類には昔からオーガニック製品があったが、メソッドはそれを洗剤の世界にも持ち込んだのである。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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