われわれは、(グループ内の投信評価会社である)モーニングスターのような会社を使って、過去のパフォーマンスを基に投資候補になり得る投資信託について、「星の数」で示すサービスを行い、顧客利便性を高めてきました。今後はこの選ぶという作業に、もっとAIが活用されていくでしょう。特にビッグデータの解析をAIでするとか、そうした形がどんどん増えるのではないかと思っています。

伝統の上にあぐらをかく連中は
吹き飛ばされていく

 振り返ると、証券業界に大きな影響を与えたのは、テクノロジーの進化でした。ネットと金融業は極めて親和性があり、全産業の中で見ても最も高いかもしれません。

 そうしてわが社をはじめネット取引が圧倒的にリテール(個人向け)市場を支配するようになりました。技術革新がいかに大きな影響を金融業に与えたかの証左です。その意味で僕は野村證券との勝負はとうの昔についたと思っています。今後はフィンテックの多岐にわたる革命的な技術により、金融サービスにおいて顧客の便益をいかに高められるかが会社の強さを左右する時代になるでしょう。

 競争上の絶対的優位性、すなわちフィンテックという武器を装備した軍団に、伝統の上にあぐらをかいている連中(対面営業証券)は吹き飛ばされていくのではないですか。フィンテック革命により、それが現実のものとなるでしょう。

 僕のビジョンは、遠大なものですが、その夢だけを描くのではなく、一歩一歩着実にできるよう創り上げていきます。この十数年の間、金融生態系をゼロからここまで立ち上げ、オンライン証券では圧倒的ナンバーワンになりました。もう「他のオンライン証券会社との競争は終わった」という競争終結宣言まで行っています。

 証券業界で一番大事とされているリテール市場でポジションを築きましたので、次は、ホールセール(法人向け)ビジネスを拡大し、残りも全部抜いていきますよと、宣言しています。リテールとホールセールを両輪として、徹底的に証券界の中に食い込んでいく。われわれこそは、世界に冠たるインベストメントバンカーにならなければならないと考えています。(談)

北尾吉孝/きたお・よしたか
1974年慶応大学卒業後、野村證券入社。野村證券ニューヨーク拠点勤務などを経て、95年孫正義社長に招かれソフトバンク入社。99年ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)社長、04年イー・トレード証券(現・SBI証券)会長に就任。SBIグループ創業後、巨大な金融コングロマリットに成長させた。シェア首位の中で15年に「ネット証券各社との競争は終結」と宣言した際は業界内で波紋を呼んだ