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岸博幸のクリエイティブ国富論

局長級で6千万円?更迭でも退職金は2割増しか
経産省幹部人事の不可解と海江田大臣の責任

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第150回】 2011年8月12日
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 経産省の3人の幹部(事務次官、資源エネルギー庁長官、原子力安全保安院長)が先週“更迭”されましたが、それでも退職金は割り増し分も含めて受け取ることが明らかになりました。この問題には様々な論点が存在するので、今週はそれについて考えてみたいと思います。

海江田大臣の説明責任

 最初に事実関係を整理しておくと、“更迭”された3人の幹部は、国家公務員が定年前の早期に退職する“勧奨退職”扱いになるので、自己都合で退職する場合と異なり、退職金に20%程度の割り増し分が加算されます。もちろん正確な金額は分かりませんが、過去の事例からすれば事務次官で8000万円くらい、局長クラスで6000万円くらいはもらうことになるのではないでしょうか。

 そこで最初に問題となるのは、海江田大臣の責任です。自ら“更迭”とは言っていませんが、メディアがそのように書くのを放置・容認した面はありますので、多くの国民が「原発事故や“やらせ”質問などの責任で更迭されたのに退職金を満額受け取り、割り増し分ももらえるのか」と思っているはずです。

 しかし、3人の幹部の人事は実際には更迭でも何でもなく、単なる定期異動に過ぎないので、ある意味で海江田大臣は国民を騙していたことになります。従って、海江田大臣は、以下の疑問について説明する責任があるはずです。

 第一に、退職金が満額支払われ、かつ割り増し分までちゃんと加えられるということは、原発事故への対応や“やらせ”質問などの問題についてこの3人の幹部は何の責任もないと、海江田大臣が自ら判断したと考えざるを得ません。

 しかし、原発事故については検証委員会が検証を行っている最中であり、また“やらせ”質問についても十分な調査が行われたとは思えません。そのようなすべてが途中の段階でなぜ“責任なし”という判断に行き着くことができたのでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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